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カビ対策をする前に知っておきたい基礎知識
カビは、温度や湿度などの条件が揃うと、家の中のあらゆる場所で繁殖する厄介な存在です。効果的なカビ対策をするためには、まずカビの正体や発生メカニズム、住宅に多いカビの種類を正しく理解しましょう。
以下では、カビ対策をする前に知っておきたい基礎知識を詳しく解説します。
カビってどうして生えるの?
カビは、正式には「真菌」と呼ばれ、細菌とは異なる微生物です。目に見えない小さな胞子が空気中に漂っており、条件が揃うと発芽して菌糸を伸ばしながら成長します。
カビが繁殖する条件は、以下のとおりです。
・20〜30℃の温度
・60〜80%以上の湿度
・カビの栄養となる汚れ(食品の食べ残しやホコリなど)
・酸素
・時間
特に、梅雨の時期は暖かく湿度も高くなる傾向があり、カビが繁殖しやすくなります。カビは成長すると胞子を出し続けるため、早めの対処が大切です。
住宅に多いカビの種類は?
家の中で発生するカビの代表的なモノとして、黒カビ、コウジカビ、赤カビの3種類が挙げられます。
それぞれ発生しやすい場所や特徴が異なるため、カビ対策をするうえで見分け方を知っておくことが大切です。それぞれの詳細は以下のとおりです。
| カビの種類 | 色・見た目 | 発生しやすい場所 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 黒カビ | 黒い斑点状 | 浴室、窓枠、エアコン内部 | 湿度90%以上で急速に繁殖する |
| コウジカビ | 白、茶、緑のまだら模様など | 食品、畳、カーペット | 結露しやすい窓の近くや、風通しが悪く湿気がこもりやすい部屋の隅などに発生する |
| 赤カビ | ピンク色、赤紫色など | 浴室、キッチン | ・厳密には酵母菌(ルドトルラ) ・繁殖速度が早い |
家の中のカビが生えやすい場所はココ!
家の中でカビが生えやすい場所の特徴は、風通しが悪く、湿度が高い場所です。現在の家は高気密・高断熱化が進んでおり、換気が不十分だと年中カビが発生するおそれがあります。
具体的には、以下のような場所にカビが生えやすいです。

特に、台所や浴室などの水まわりには食べ物のカスや皮脂汚れなど、カビの栄養源となるモノがたくさんあるため、繁殖しやすくなります。また、寝具の下は寝汗や結露がつき、さらに体温で温められるためカビが繁殖しやすい傾向です。
効果的なカビ対策4選
カビの発生メカニズムや、家の中で発生しやすいカビの種類、場所を理解したところで、次は具体的な対策方法を見ていきましょう。
カビは温度、湿度、栄養、酸素、時間の5つの条件が揃うと繁殖するため、これらの条件が揃わないようにすることが重要です。
効果的なカビ対策は、以下のとおりです。

それぞれ詳しく解説します。
1.こまめにお掃除をする
カビは食べ物のカスやホコリなどを栄養源にして繁殖するため、こまめにお掃除をして栄養源となる汚れを取り除くことが大切です。
食べ物のカス、ホコリ、繊維クズなどは徹底的に取り除き、こびりついた落ちにくい汚れは拭き掃除でしっかり落としましょう。
前述したとおり、窓や浴室など湿度が高くなりやすい場所はカビが発生しやすいため、見つけたらすぐに拭き取ることが重要です。
2.換気をする
換気をあまりしないでいると、室内の温度や湿度が高くなり、カビが繁殖しやすい環境になってしまいます。
毎日こまめに窓を開けたり、換気扇を回したりして、カビの発生予防につなげましょう。
冷暖房を使用している時は、1時間に2~5分程度を換気の目安としてください。24時間換気システムが設置されている場合は、電気代節約のために止めず、常に運転させることが重要です。
また、室内だけでなく、クローゼットや押し入れなどの収納スペースの換気も大切です。定期的に扉を開けて、外気との入れ替えを行いましょう。
3.エアコンや除湿機で温度・湿度管理をする
カビにはさまざまな種類がありますが、湿度が60%以下になるとほとんどのカビは活動できなくなります。
除湿機やエアコンの除湿機能を使うと、部屋全体を除湿できます。また、収納部分や玄関などには除湿剤を置いたり、すのこを敷いたりするとよいでしょう。
湿度を適切に管理するためには、各部屋に湿度計を設置して、定期的なチェックを行うことも大切です。
エアコンの除湿についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
▶関連記事:エアコンの除湿(ドライ)はカビ対策に効果ある?業者に依頼するメリットも解説!
4.レイアウトの変更、家電の活用によって風通しをよくする
換気を行っても、室内の家具の配置によっては風通しが悪く、湿度があまり下がらないことがあります。そのため、室内は風通しがよいレイアウトにしましょう。風通しがよくなれば室内の湿度は下がりやすくなり、カビ予防につながります。
また、サーキュレーターや扇風機を設置すると、空気を循環させて湿度を均一に保つことにつながり、家具の裏側や部屋の隅など空気が滞留しやすい場所への換気にも役立ちます。効果的な換気をするには、対角線上に2つの窓を開けて空気のとおり道を確保することがポイントです。
さらに、収納スペースは余裕を持たせてモノをいれて、観葉植物は壁際に置かないようにしましょう。
生えてしまったカビのお掃除方法

ここからは、カビが生えてしまった場合のお掃除方法を場所ごとに説明します。
1.浴室のタイル
浴室のタイルにカビが生えてしまった場合は、以下のおそうじ道具と手順でカビを取り除きましょう。
<おそうじ道具>
・スポンジ
・ブラシ
・ゴム手袋
・バスブーツ
・ゴーグル
・マスク
・浴室用洗剤
・カビ取り剤
<お掃除前の準備>
・ドアや窓を開け、換気扇を回して必ず換気する
・ゴーグルやマスク、ゴム手袋をつけてからお掃除を行う
・バスブーツも着用する
<お掃除方法>
1.浴室全体を水で濡らし、水で湿らせたスポンジに浴室用洗剤をスプレーして全体をこする
2.目地の部分の汚れが取れない場合は、水で湿らせたブラシで優しくこする
3.シャワーなどで水をかけながら、汚れや洗剤を洗い流す
4.カビが生えている場合はカビ取り剤をスプレーする(この時、顔や手足などにつかないよう気を付ける。また、カビ取り剤が衣服に付着すると漂白される場合があるので注意する)
5.そのまま5~10分ほど放置し、カビの色が消えるのを待つ
6.シャワーなどで水をかけながら、汚れやカビ取り剤などを洗い流し、よく乾燥させる
浴室のカビについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
▶関連記事:カビに手こずらないお風呂掃除のコツ
2.流し台下部
流し台下部に生えたカビのお掃除方法は、以下のとおりです。
<おそうじ道具>
・除菌用アルコール
・いらない布
・ゴム手袋
<お掃除前の準備>
・窓を開け、換気扇を回して必ず換気する
・ゴム手袋をつける
・手袋の端は折り返しておき、液が垂れないようにする
・全ての荷物を取り出す
<お掃除方法>
1.いらない布に除菌用アルコールを染みこませ、まずカビの部分だけをしっかりと拭く
2.その後、全体を拭く
3.よく乾燥させ、荷物を元に戻す
※カビがある状態で、まんべんなく拭いてしまうと、胞子を全体に広げてしまう可能性があります。
3.畳
畳に緑や白のカビが生えたら、下記のお掃除方法を試してみてください。
<おそうじ道具>
・除菌用アルコール(エタノール70~80%濃度のモノ)
・ブラシ
・いらない布
・ゴム手袋
・マスク
<お掃除前の準備>
・窓を開け、風通しをよくする
・ゴム手袋をつける
・手袋の端は折り返して、液が垂れないようにする
・マスクをつける
<お掃除方法>
1.スプレーで除菌用アルコールをカビ全体に吹きつけ、15分ほど放置する
2.柔らかいブラシを使って、畳の目に沿ってカビをかき出す
3.カビをかき出せたら、ブラシを洗う
4.畳についたカビが取れるまで繰り返す
5.カビをかき出せたら、再度除菌用アルコールを吹きつけながら畳の目に沿って、乾いた布で拭く
6.よく乾燥させる
※新しいモノは色落ちする部分があるので、目立たないところで一度試してから実施してください。
畳のお掃除方法についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
▶関連記事:毎日触れる床は常にキレイにしたい…!床(フローリング・化学床・畳)のおそうじ方法
4.クローゼット
クローゼットに生えたカビは、以下のおそうじ道具と方法で取り除きましょう。
<おそうじ道具>
・掃除機
・除菌用アルコール
・いらない布
・ゴム手袋
・マスク
<お掃除前の準備>
・ドアや窓を開けて換気する
・ゴム手袋をつける
・手袋の端は折り返して、液が垂れないようにする
・マスクをつける
・全ての荷物を取り出す
<お掃除方法>
1.掃除機などを使い、クローゼットにたまったホコリやゴミを取り除く
2.いらない布に除菌用アルコールを染みこませ、まずカビの部分だけをしっかりと拭く
3.その後、全体を拭き、カビが生えている場所に除菌用アルコールや塩素系漂白剤を吹きかけて10~30分程度放置する
4.吹きかけたところをタオルで拭き取り、しっかりクローゼットの中を乾かしてから、荷物を元に戻す
※カビがある状態で、まんべんなく拭いてしまうと、胞子を全体に広げてしまう可能性があります。
5.エアコン
ご自身で行えるエアコンのお掃除は「エアコンフィルター」のみです。以下では、エアコンフィルターのお掃除方法を紹介します。
<おそうじ道具>
・掃除機
・中性洗剤
・ブラシ
<お掃除前の準備>
・エアコンの下にある家具は移動させる
・エアコンのコンセントを抜く
<お掃除方法>
・ホコリが空気中を舞わないよう、フィルターを片方ずつ取り外す
・フィルターに付着したホコリを掃除機で吸い取る
・掃除機で取れなかった汚れは水洗いをする
・特に汚れがひどい場合は、水で薄めた中性洗剤にブラシを浸しこする
・フィルターを風通しのよい場所でしっかり乾燥させる
エアコンのカビの原因やお掃除についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
▶関連記事:【エアコンのカビの原因と対策】チェックリストで今すぐカビレベルを見抜ける!
▶関連記事:エアコンクリーニングの頻度はどのくらい?掃除方法や業者に依頼する時期について解説
場所に合わせた適切なお掃除でカビ対策をしよう!
カビは温度・湿度・汚れ・酸素・時間の5条件が揃うと発生するため、条件が揃わないよう普段からこまめにお掃除や換気を行う事が大切です。
また、カビが発生した場合、場所ごとにカビのお掃除方法が異なるため、今回紹介したやり方をぜひ参考にしてください。
しかし、カビが生えやすい場所は水まわりやクローゼット、エアコンなど多岐にわたります。「全ての場所にカビが生えないよう目を届かせるのは難しい」「こびりついて落とせなくなったカビがある」などお悩みの方は、プロにクリーニングを依頼するのも方法のひとつです。
ダスキンではエアコン内部を分解し高圧洗浄を行い、防カビ処理も行う「エアコンクリーニング」や、普段のお掃除では落とすことができなくなった浴室のガンコな汚れもしっかり落とす「浴室クリーニング」もご用意しております。
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