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エアコンの分解洗浄とは?
エアコンの分解洗浄とは、前面カバーや本体カバー、ルーバー、フィルターを取り外して、内部の熱交換器や送風ファンと呼ばれる部分を高圧洗浄機で洗浄する方法です。
フィルターをはずす以上の、カバーやルーバーを取り外す分解はご家庭では難しいため、エアコンクリーニングの専門業者に依頼することになります。
プロによる分解洗浄では、高圧洗浄機を用いて、エアコン内部にあるドレンパンや送風ファンなど、普段の掃除では手の届かない部分まで隅々ときれいにお手入れできます。
取り外したカバーやルーバーは洗剤で丁寧にホコリを洗い流して磨き上げます。
さらに、プロの分解洗浄では抗菌・防カビ処理まで実施してもらえるため、継続的にエアコンを衛生的な状態に保てる点がポイントです。
エアコンの分解洗浄はなぜ必要?実施する4つのメリット
エアコンの分解洗浄は、エアコン内部の汚れを取り除き、快適な空気環境を維持するために重要なメンテナンスです。特に定期的に実施することで、健康面やエアコンの性能維持に大きなメリットがあります。ここでは、分解洗浄を行なうことで得られる4つのメリットを紹介します。
カビ臭さを解消し、快適な空気を維持できる
エアコンを長期間使用していると、内部の熱交換器や送風ファンにカビやホコリが付着し、エアコンをつけるたびに嫌なニオイが発生することがあります。特に冷房運転時には内部で結露が発生し、湿気がこもるため、カビが繁殖しやすい環境になります。
分解洗浄を行なうことで、これらの汚れを徹底的に取り除き、カビ臭さのないクリーンな空気を確保できるのがメリットです。
エアコンの冷暖房効率が向上する
電気代の節約につながる
フィルターが汚れていると、熱交換器を通る空気の量が減ってしまいます。また、エアコン内部にある熱交換器が汚れていると、本来の性能が発揮できず、熱交換効率が低下してしまいます。
このように、汚れがエアコンの稼働効率低下を招いてしまい、結果として消費電力が増えてしまうのです。たとえば、フィルターを掃除でエアコンが本来の性能を発揮できる状態を保てば、下記のように電力消費を抑えることができます。
●フィルターを月に1回か2回清掃
年間で電気31.95kWhの省エネ 約990円の節約
※フィルターが目詰りしているエアコン(2.2kW)とフィルターを清掃した場合の比較
※出典:経済産業省 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト
エアコンを清潔に保ち、稼働効率を改善することで、電力消費を削減することができるでしょう。
エアコンの寿命を延ばし、故障リスクを低減できる
エアコン内部の汚れが蓄積すると、冷却効率の低下でモーターへの負荷が増加し、最終的に故障のリスクを高める要因になります。特に、送風ファンやドレンパンにホコリが詰まると、エアコン内部の排水がうまくいかず、水漏れの原因になることもあります。
内部の汚れを取り除き、機械への負担を軽減するためにも、分解洗浄による定期的なメンテナンスが重要です。適切なメンテナンスにより、エアコンの故障リスクを下げ、長く快適に使用できるようになります。
エアコンの分解洗浄を依頼する基本的な流れ
エコアンの分解洗浄を業者に依頼する場合、まずは見積もりを取ってから、申し込み・実施をするのが一般的です。エコアン分解洗浄の依頼の流れは次のとおりです。
●Webでの申込
1.Webで見積もり・日程を確認。
2.Webでエアコンの画像を送付し、申し込み。
3.訪問しての作業の実施。
●訪問ありの申込
1.Webや電話で見積もりの日程を確認
2.訪問してお見積り。作業日程を確認
3.訪問しての作業の実施。
また、作業当日の流れは、次のようになります。
1.動作の確認:エアコンが正常に動作するか確認する。
2.養生の実施:エアコン内部の電装部やエアコン周辺が汚れないように養生する。
3.パーツの分解:前面カバーやフィルターを外す。
4.ホコリの除去:エアコンにたまったホコリをバキュームで除去する。
5.高圧洗浄実施:熱交換器や送風ファンのカビやホコリを、専用の資器材と薬剤を用いて高圧洗浄する。
6.すすぎ:高圧水で徹底的にすすぐ。
7.パーツ洗浄:浴室やベランダを借りて取り外したパーツを洗う。※浴室などをお借りする場合あり
8.乾燥:しっかり乾燥や拭き上げを行なう。
9.抗菌・防カビ処理:パーツ一つひとつに抗菌・防カビ処理を実施。
10.組み立て:元の状態に戻す。
11.動作確認:正常に動作することを確認して終了。
エアコンの分解洗浄は自分でできる?家庭で行なうリスク
さまざまなメリットがあるエアコンの分解洗浄ですが、業者に依頼するには費用がかかります。自分で分解洗浄できないか検討する方もいるでしょう。
しかし、エアコンの分解洗浄には専門的な知識や道具が必要であり、自分で行なうにはさまざまなリスクがともないます。ここでは、家庭でエアコンの分解洗浄を行なう際に考えられる5つのおもなリスクについて解説します。
手間や時間がかかる
エアコンの分解洗浄は、カバーやフィルターを外すだけではなく、内部の構造を理解しながら慎重に作業を進める必要があります。また、取り外したパーツを正確に元に戻さなくてはいけません。適切な洗浄道具を準備し、正しい手順で行なわないと、故障やトラブルの原因となります。
また、エアコンの分解洗浄は高所で腕を上げて行なうことが多く、体への負担が大きいといえます。手間や時間がかかる点がデメリットです。
洗浄が不十分で汚れが残る
家庭用の洗浄スプレーや簡易的な清掃では、エアコン内部の奥深くにこびりついたカビやホコリを完全に除去することは困難です。細かいところまでスプレーが届かない、またはすすぎ残しが起きる可能性があります。
熱交換器や送風ファンの間に汚れが残ると、洗浄後もニオイが取れず、逆にカビの繁殖をうながしてしまう可能性もあるため、注意が必要です。また、エアコン内部に残った薬剤の成分を部屋中に飛散させることにもなりかねません。
故障のリスクが高まる
エアコンの内部には多くの精密な部品や配線があり、誤った分解や組み立てによって部品を破損させるリスクがあります。また、電装部分に薬剤がかかってしまうこと危険です。
熱交換器がまがったり、モーターやセンサーが壊れたりすると、エアコンが動かなくなってしまうかもしれません。修理には高額な費用がかかる場合があり、最悪の場合、新しいエアコンを購入しなければならないケースも考えられます。
水漏れや感電の危険がある
エアコンの内部洗浄には水や洗剤を使用しますが、電気部品に薬剤がかかるとショートを引き起こし、感電や火災のリスクが高まります。また、たまったホコリが薬剤などで湿気を帯び、漏電・発火する可能性もあり、大変危険です。
プロのクリーニングは徹底した教育と装備で目張りや養生を行うため、それらをご自身で行うのは難しいでしょう。
さらに、落としきれなかった汚れがドレンパンや排水ホースに残ると、詰まりの原因になることがあります。
保証の対象外になる可能性がある
エアコンの分解洗浄を依頼するかどうかの判断ポイントは?
エアコンの分解洗浄が必要かどうかは、いくつかのサインで判断できます。特に、ニオイ、目に見える汚れ、水漏れが発生している場合は、内部の汚れが進行している可能性が高いため、早めの対処が重要です。
カビ臭さなどのニオイがする
エアコンをつけたときにカビ臭いニオイや、不快なニオイを感じる場合、内部にカビや汚れがたまっている可能性があります。目に見える範囲はきれいでも、内部にある熱交換器や送風ファンが汚れていると、不快なニオイが部屋中に広がってしまいます。
タバコや料理のニオイ、ペットのニオイも内部に蓄積され、複雑な悪臭の原因につながることもあるでしょう。フィルターの掃除だけでは解決しないため、専門業者による分解洗浄を依頼するのが効果的です。
カビやホコリが目につく
エアコンの吹き出し口や送風ファンに黒い点々が付いている、または運転中にホコリが舞うのが気になる場合、内部にカビやホコリがたまっているサインです。特に、吹き出し口の奥をのぞいて汚れが確認できる場合、エアコン内部の清掃が必要と考えられます。
放置すると、カビの胞子やホコリが空気中に拡散し、アレルギーや呼吸器系のトラブルを引き起こしかねません。定期的な分解洗浄の実施により、健康的で快適な空間の維持が期待できます。
汚い水が漏れている
エアコンの下や壁に水漏れが発生している場合、ドレンホースやドレンパンの詰まりが原因の可能性があります。汚れがたまると結露水がスムーズに排出されず、最終的に水漏れにつながることがあるのです。
まずはエアコン業者に修理を依頼し、原因を特定することが重要です。詰まりの原因が汚れであれば、エアコン内部も汚れている可能性が高いため、修理後に分解洗浄を検討するとよいでしょう。
エアコンの分解洗浄を依頼する際の注意点
エアコンの分解洗浄を実施する場合は、以下の2点に注意して業者に依頼を行ないましょう。
しっかりとした技術を持つ会社へ依頼する
依頼する時期を考慮する
分解洗浄中はエアコンが使用できないため、真夏や真冬の依頼は避けるのが賢明です。特に、猛暑の時期にエアコンが数時間使えないと、熱中症のリスクが高まるため危険です。
また、クリーニング業者の繁忙期を避けることで、予約が取りやすく、スムーズに作業を依頼できます。快適な気候の春や秋に依頼すると、エアコンを使うシーズンに備えてベストな状態を維持できるでしょう。
エアコンの分解洗浄の効果を保つ方法
エアコンの分解洗浄を行なったあとは、その効果を長持ちさせるために、日頃のメンテナンスが重要です。効果を保つための4つのポイントをご紹介します。
こまめにフィルターを掃除する
フィルターが汚れると、目詰まりを起こしてエアコンの運転効率が低下し、内部にも汚れがたまりやすくなります。毎日冷暖房を使う方なら、2週間に1回程度、フィルターを取り外して掃除するのが望ましいです。掃除機でホコリを吸い取り、水洗いしましょう。
エアコンがキッチンのそばにある場合は、水洗いだけでは汚れが落ちない可能性もあるため、薄めた中性洗剤とブラシを活用して洗うのが効果的です。
送風運転を活用し結露・カビの対策をする
エアコンを美しく清潔に保つためには、結露やカビ対策がとても大切です。冷房運転中は結露が発生するため、運転を停止すると、エアコン内部の温度が上がり、カビが繁殖しやすい環境になります。冷房を切ったあとは30分~1時間ほど送風運転を行ない、内部をしっかり乾燥させるのがおすすめです。
一部のエアコンには内部クリーン機能が搭載されており、冷房停止前の送風運転と同じ効果が期待できるので、積極的に活用するとよいでしょう。カビの発生を防ぐことで、ニオイやアレルギーの原因を減らし、エアコンを清潔に保てます。
部屋のホコリを取り除く
部屋の空気が汚れていると、エアコンがホコリや花粉を吸い込み、内部が汚れる原因になります。床や家具の上にホコリがたまりやすい場所は、こまめに掃除機をかけ、拭き掃除を行なうとよいでしょう。
特にキッチン近くにエアコンがある場合は、油煙とホコリが混ざることで汚れが落ちにくくなるため、換気扇の活用も効果的です。また、空気清浄機を併用することで、エアコン内部に汚れが蓄積しにくくなり、分解洗浄の効果を長持ちさせられます。
抗菌や防カビを依頼し効果を長持ちさせる
エアコンの清潔を長く保つなら、抗菌や防カビの効果がある薬剤の塗布がおすすめです。ダスキンの抗菌コートは、冷房運転時の結露に反応して少しずつ抗菌剤が広がる仕組みになっており、約1年間もの長期にわたってカビや雑菌の繁殖を抑える効力が期待できます。
特に、汚れがたまりやすいドレンパン周辺まで抗菌効果が広がるため、エアコン内部のカビ対策として非常に有効です。世の中にはさまざまな薬剤があるため、しっかりと効果が検証されているものを選ぶと良いでしょう。