気づかない間に繁殖! トコジラミ(南京虫)の駆除・対策

2019年8月1日

気づかない間に繁殖! トコジラミ(南京虫)の駆除・対策

1960年代ごろまで、日本でも都市部を中心に一般的だったトコジラミ(南京虫)。その後、減少の一途をたどり、1970年代には国内でほとんど見られなくなりました。一方、2003年ごろからアメリカを中心に、トコジラミの被害が増加傾向に。今後、日本でも短期間での広がりが予想されますが、宿泊施設等では風評被害を恐れて被害の様子が表面化していないだけで、すでに密かに広がっている可能性も高いとする意見もあります。今後、被害を拡大させないためにも、トコジラミを知り、繁殖防止などの駆除対策をきちんとする必要があります。今回、トコジラミの生態から被害、対処方法に至るまでを詳しくご紹介していきます。

目次

トコジラミ(南京虫)の基本を知ろう

まずはトコジラミの基本について学んでいきましょう。

トコジラミ(南京虫)

トコジラミは「シラミ」と命名されていますが、シラミ目ではなく、分類学的にはセミ、カメムシ、ウンカなどと同じカメムシ目に属し、別名「南京虫」とも呼ばれます。カメムシ目トコジラミ科の昆虫はすべて吸血性ですが、そのほとんどは主として鳥類やコウモリ類を宿主としており、人を吸血源とするのは主にトコジラミとネッタイトコジラミの2種類です。

トコジラミ(南京虫)の形態と習性

世界中の温帯地域に生息しており、日本では北海道から九州に生息しています。成虫の寿命は長く、摂氏27度で3~4カ月、20度程度では9~18カ月生存します。成虫は体長5~8ミリ(幼虫は1~2ミリ)で、体は丸く赤~茶褐色の楕円形、空腹時は扁平ですが、吸血すると体長は1.5倍程度伸び丸く膨らみます。

すばやく歩き回り、触れるとカメムシ類と同じような悪臭を発します。幼虫、成虫、オス・メスを問わず寝ている人やペットから吸血し、主に手、足、首などの露出した部分を刺します。飢餓に強く、吸血出来ない状態でも2年近く生存した例もあります。1日当り5~6個の卵を毎日産み続け、生涯では200~500個ほど産みます。

トコジラミ(南京虫)の種類

世界中の熱帯・亜熱帯地域に分布し、日本では沖縄などの南西諸島に見られる「ネッタイトコジラミ」は、体色や大きさ、生態、習性ともにトコジラミとほぼ同様です。ただし、前胸部の形態と、辺縁の剛毛の生え方が少し異なります。沖縄のトコジラミ被害のうち、約3割がネッタイトコジラミであると報告されています。

トコジラミ(南京虫)が増える理由

トコジラミが増加傾向にある背景には、何があるのでしょうか。

海外旅行客や海外渡航(衣服やカバン)

生活環境の改善などに伴って一度は絶滅したといわれるトコジラミですが、先にも述べたように、近年は増加傾向にあります。JNTO(日本政府観光局)の調べによると、2018年では、中国から838万人、韓国から753万人、台湾から475万人、香港から220万人が旅行やビジネスで日本を訪れています。このように近年の訪日外国人の増加や日本から海外旅行へ手軽に出かけられるようになったことなどに伴って、国内へ持ち込まれた可能性が高いのではないかといわれています。

流通の発達

流通の発達により海外から入ってくる家具やベッドなどにも潜んでいる可能性があります。トコジラミは繁殖力が非常に強いので、一度付着した卵はすぐに孵化し、幼虫の段階から吸血し成長・増殖を続けていきます。

トコジラミ(南京虫)の生息場所

トコジラミは、どういった場所に生息しているのか、見ていきましょう。

トコジラミ(南京虫)は吸血しやすいベッドなどに潜伏

トコジラミは主に夜間に活動し、狭く暗くて温かい場所を好み、卵を産み付けます。一般的にトコジラミが好む潜伏場所は、吸血しやすいベッドの周りや、ヘッドボードと壁の間、ベッドのマットレスの縫い目や布の重なり部分、和室であれば布団を敷く場所の周辺、畳の下、柱や天井と壁のすき間、カーテンの折り返し部分、壁に掛けられた額や鏡の裏側、壁紙の裏側や壁紙と幅木との間、カーペットの下、電化製品の内部、タンス類、引き出しの裏などです。

特に、人が長時間居座る場所の近くで、目のつきにくい所に潜伏する傾向があるようです。トコジラミは吸血した後、墨汁色の糞を排泄し、その糞は乾燥し、汚点として壁や柱などに残るので、これらを見つけることにより生息場所を発見することができます。

トコジラミ(南京虫)に吸血されるとどうなるのか

トコジラミに吸血されると、人体にどういった影響を及ぼすのか見ていきましょう。

症状

トコジラミは就寝中に体に取り付き約15分間吸血し続けます。刺されると体内に抗体が形成され、患部がダニに刺されたときのように赤く腫れあがり、数日後に猛烈なかゆみを発症します(症状には個人差があります)。

また、強いかゆみのために十分な睡眠がとれない状態が長く続くため、不眠症になる人も多く、場合によっては神経障害を引き起こすこともあります。さらにかゆみによる掻きすぎにより、皮膚に傷がつき細菌による二次汚染で傷口が化膿することがあります。刺し痕は基本的に1カ所ですが、吸血時に何度か場所を変えることがあり、複数個所腫れることがあります。蚊に刺された時よりも数倍かゆく、かゆみや刺し痕が消える期間は1~2週間程度といわれています。

経済的損失

このような人的な被害にとどまらず、時には経済的な被害を及ぼすこともあります。ホテルなどの宿泊施設で、トコジラミが部屋に発生した場合、専門家へ依頼しないと駆除するのは難しく、その範囲も広く長期間に及ぶため、費用負担が大きくなります。

完全に駆除するまで入室できないため営業にも影響します。ベッドや調度品などを廃棄処分せざるを得ないケースもあり、その度に大きな経済的損失が発生します。

SNS拡散による風評被害

トコジラミの発生情報がSNSや口コミで拡散した場合、トコジラミが発生しなくなった後も長期にわたる風評被害に繋がる可能性があります。さらに宿泊施設などでは、被害に遭われた利用客に対する治療費や慰謝料などが発生することもあります。

非常に難しいトコジラミ(南京虫)の予防と対策

トコジラミの予防と対策には、どういったものがあるのでしょうか。

トコジラミ(南京虫)の効果的な予防策はないに等しい

トコジラミは、不衛生な環境から発生するわけではなく、人やものと一緒に移動していくので、付着されたものからどんどんと繁殖していきます。清潔にしておけば大丈夫というわけではないため、効果的な予防策はないに等しいといえるでしょう。

トコジラミは狭く暗い場所に生息し、夜間に活動するため専門的な知識がない人にとって判断しづらい点があります。また、刺されてからかゆみの発症までのタイムラグにより刺されたことに気づかない場合もあります。一般の人にとってトコジラミの発見は非常に困難だといえます。

トコジラミ(南京虫)は専門家による早期発見が重要

トコジラミは、駆除作業を終えるタイミングを誤ると、被害が再発生する可能性があります。したがって、いつ駆除を終えるか、判断が非常に難しいといえます。トコジラミの発生原因や侵入経路などの判断は、プロの専門家に任せるべきでしょう。

自宅でのトコジラミの対処法

トコジラミが自宅で発生した際の対処法について、いくつかご紹介しましょう。

加熱

トコジラミの弱点は熱です。一般的に昆虫類に対しては摂氏50度以上の高温が効果的です。また、衣類などは少し高めの70度ほどのお湯で洗濯するのがお勧めです。スチーマーを使用することにより、成虫・幼虫だけでなく卵の駆除も可能ですが、すき間の奥行きが深い場合などは、スチーマーの熱が伝わらず効果が低くなります。

掃除機

トコジラミが発生している場所、またはその恐れのあるすき間などに対し、真空掃除機を使って吸引するという方法もあります。また、床から壁、天井まで、被害にあった部屋の汚染レベルを短時間で下げることができます。ただし、掃除機のパワーが弱いと吸い込まれたトコジラミがその中で生存してしまう場合があるので注意が必要です。

殺虫剤

トコジラミとは分からず、ダニだと思い市販の殺虫剤を購入し、自分で駆除を試みる人も多いようです。しかしながら、トコジラミは一般的な殺虫剤に対して抵抗性(ピレスロイド系抵抗性)を備えていることがあるため、市販薬では効き目が表れにくく、より効果的な専門の薬剤が必要となります。またトコジラミは、昼間は壁や柱、家具のすき間やベッドの裏などに潜伏していることが一般的であるため、殺虫剤を使用するにあたっても専門性を要します。

物理的な処理

袋状のカバーを使用し、マットレスやボックス・スプリングなどを包み込む方法や、トコジラミが床からベッドに這い上がってくるのを防ぐため、容器型トラップを脚元4カ所に敷く方法があります。

宿泊施設や商業施設におけるトコジラミ(南京虫)の対処法

宿泊施設や商業施設でトコジラミが発生した場合、どういった対処法があるのか見ていきましょう。

加熱・冷却

むやみに殺虫剤を散布することが難しい商業施設の場合、加熱または冷却による駆除を行うのが一般的です。加熱による対処法は先に述べた通りですが、一般的に昆虫類は高温だけでなく低温にも弱く、摂氏マイナス20度程度で比較的に速やかに死亡します。局所処理用として、「クライオナイト」と呼ばれるマイナス78度のスノードライアイスを吹き付ける機器が使用されています。 しかし、これらの方法だけで完全に駆除するのは 非常に難しく、薬剤と併用することが多いようです。

日常の点検

トコジラミが発生していないかを日常的に点検し、発生してもすぐに発見できる仕組みづくりが大切です。例えば宿泊施設などは、ルームクリーニングの際にトコジラミの発生を想定した点検ポイントを確認し、脱皮殻、糞の形跡などトコジラミの発生が疑われるような状況を発見した時点で、すぐに駆除サービスへ依頼するといったフローの構築が必要となります。特にベッドの周りに生息している可能性が高いので、作業担当者に対し、トコジラミの色や大きさなどの特徴をあらかじめレクチャーする必要があります。とはいえ、発生初期の段階においては、熟練した防除技術者でも目視による発見率は30%未満であるともいわれています。

30年の害虫駆除実績でトコジラミを撃退

トコジラミには対処法がありますが、専門的な知識を持たない人にとっての対処は非常に難しいといえます。30年の害虫獣駆除サービス実績を持つダスキンは、全国547店でスタッフが活動しており、ご家庭や宿泊施設・商業施設に発生する害虫を、薬剤の使用を抑えた技術とシステムで駆除・予防管理しています。ダスキントコジラミ駆除サービスでは、生息調査にバキューミング、冷却処理、薬剤処理、点検、再点検という工程を踏み、トコジラミを駆除します。ぜひプロにご相談ください。

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