2025年5月14日
ヤスデはムカデの幼虫?ヤスデの生態、発生を防ぐ対策
ベランダのプランターや庭、家の付近に大量発生するヤスデは、その見た目や大量に発生する習性、ときおり放つ悪臭から不快感をもたれることがあります。
私たちが目にするヤスデはほとんどが成虫です。1〜2センチほどの小さなヤスデを外で見かけたとしても、それは幼虫ではなく成虫である可能性が高いです。
この記事ではヤスデの生態と、発生を予防する方法について解説します。また、ヤスデはムカデの幼虫と間違えられることがあるため、ヤスデとムカデの違いについても解説します。
目次
ヤスデはムカデの幼虫?日本に生息する代表的な3種
まずは、ヤスデの特徴を詳しく解説し、日本に生息する代表的なヤスデ3種を紹介します。
ヤスデとは
ヤスデは多くの脚を持つ節足動物で、見た目はダンゴムシが細長くなったような形をしています。一見するとムカデの幼虫に似ていますが、よく観察すると外見に違いがあります。また、ヤスデはムカデに比べて動きが鈍く、ムカデと違って人を襲うこともありません。ヤスデとムカデの見分け方については、のちほど詳しく解説します。
日本に生息するヤスデの種類
ヤスデは世界に1万種以上いるといわれ、まだ名前の付いていないものも多く存在します。日本には200種以上が生息していますが、はっきりと分類されていない種類も少なくありません。
以下で、日本で特によく見られるヤスデの種類を紹介します。
ヤケヤスデ
ヤケヤスデは、日本国内で最も多く見られるヤスデです。体色は淡褐色(ベージュ)や暗褐色で、焼けたような色をしていることから「ヤケヤスデ」と呼ばれます。成虫の体長は18~20mm程度で、ヤスデのなかでは比較的小さめです。
外敵に遭遇すると特異な臭いを放ち、渦を巻くように丸くなります。また、梅雨明けの時期に集団発生することがあり、家屋に侵入するケースも見られます。
キシャヤスデ
キシャヤスデは成虫の体長が35~45mmほどあり、ヤスデのなかでは大型の部類です。体色は褐色で、主に落ち葉を食べて成長します。ほかのヤスデが1~3年で成虫になるのに対し、キシャヤスデは幼虫のまま7年間を土のなかで過ごすため、8年周期で大量発生するのが特徴です。
中部地方の山岳地帯など、森林内を好んで生息しています。山間部の鉄道では、線路を覆うほど大量に発生し、列車を止めることもあるため「キシャヤスデ」と呼ばれるようになりました。
ヤンバルトサカヤスデ
ヤンバルトサカヤスデは台湾からの外来種で、1983年に沖縄に侵入して以来、南九州や四国、関東などでも確認されています。体長は25~30mmほどで、在来種のヤスデよりも大きく、体色は褐色に淡褐色と濃褐色のしま模様が特徴です。刺激を受けると、青酸を含む悪臭ガスを放つことがあります。
エサは落ち葉や朽ち木、堆肥などの腐植物質です。湿度の高い草地や側溝、日当たりの悪い場所に生息し、夜間に活動します。幼虫は4~6月、成虫は10~11月頃に集団で移動します。
ヤスデの成長について(産卵~幼虫~成虫の過程)
ヤスデは8~9月にかけて産卵します。一匹のヤスデが一度に産む卵の量は150~300個ほどです。その後、孵化して土のなかで大きく育った幼虫は、翌年5月末~7月初旬の梅雨の時期に成虫になります。地表に現れるタイミングは、梅雨の長雨によって地中に水がたまり、ヤスデが地中にいられなくなったときです。
卵や幼虫のヤスデは主に地中にいますが、成虫は地中のほか、落ち葉や枯れ葉の下など地上にも生息しています。基本的に地中にいる幼虫を家のなかで見かけることはほぼないため、人家に侵入するヤスデは成虫といえます。
ヤスデの幼虫は何を食べる?
ヤスデの幼虫は土のなかの腐植物質を食べ、脱皮を繰り返して育ちます。成虫になり地上に出ると、落ち葉や枯れ葉を大量に食べます。幼虫も成虫も基本的に朽ちたり枯れたりした植物を食べることは共通しています。
土壌の有機物を分解し、フンとして排出するため、益虫ともいわれています。
ヤスデの成虫とムカデの幼虫を見分けるには
ヤスデの幼虫は土のなかで過ごすため姿を見る機会がほとんどありません。成虫になると落ち葉や枯れ葉の下の地表に生息し、大雨が降ると建物の壁をはい上がって大量発生し人目に触れることになります。ヤスデの成虫はムカデの幼虫と即座には見分けにくいです。両者を見分けるポイントはどこにあるのでしょうか。
まず、形に注目してみましょう。ムカデの幼虫は平べったい形をしており、長い脚と触覚を持っています。対してヤスデの成虫は厚みのある半筒状をしており、脚と触覚は短めです。またムカデは1つの節から左右に1本ずつ脚が出ているのに対し、ヤスデは1つの節から左右に2本ずつ出ています。
ムカデは動きが素早く場合によっては人を噛むこともありますが、ヤスデはゆっくりと動き、人を襲うことはありません。見た目が似ているため混同されがちなヤスデとムカデですが、実際にはまったく異なる種類の節足動物です。
ヤスデの幼虫を放置していると起こる被害
ヤスデが幼虫の間は、目につかないので被害はあまりありません。しかし、放置していると成虫になり、やがて地表に現れてさまざまな被害を引き起こします。
例えば、ヤスデは水を嫌うため、大雨が降ると家屋に侵入したり家屋の壁に張り付いたりする傾向があります。多くの脚が生えており、群れで行動するため、見た目に不快感を抱くことがあるでしょう。
人を噛んだり、農作物を荒らしたりすることはありませんが、誤って踏んだり刺激を与えたりすると、刺激臭のある体液を分泌する種類もいます。この分泌液には毒性があり、皮膚についた場合ヒリヒリ痛みます。最悪の場合、水泡ができてただれてしまう可能性もあるため、素手で触らないよう、注意が必要です。
ヤスデの幼虫を発生させないための対策
ヤスデの幼虫を発生させないためには、卵を産む成虫を駆除し、ヤスデが生息しにくい環境を作らなければなりません。
素早い効果が期待できる駆除方法は、庭や家の周辺に粉状の専用殺虫剤をまくことです。あるいは、毒エサタイプの殺虫剤も効果が期待できます。また、ヤスデは水を避けて家の壁面に上る傾向があるため、壁付近に忌避剤を置くことも効果があるでしょう。
さらに、幼虫のヤスデは乾燥に弱く、湿気のある環境を作らないようにすることも有効です。庭に日陰が多い場合は土が湿りやすくなります。日光を遮る庭木がある場合は剪定して、なるべく地表に日光が当たるようにしましょう。植木鉢やプランターを地面に直接置いている場合は、底が湿りやすくなっています。ラックなどの上に置いて、風通しが良くなるよう心がけましょう。
ヤスデのエサとなるものをなくすことも対策の一つです。家周辺の落ち葉や枯れ木は定期的に掃除しましょう。庭に雑草が生えている場合は、放置せずすぐに抜いておくことも大切です。
成虫の発生を防ぐ!3つの対策
ヤスデの幼虫は、地中にいるため普段目にする機会は少ないでしょう。しかし、それは知らないうちに地中で増えているかもしれないということ。ヤスデのなかには地中で幼虫として何年もかけて成長したのち、成虫になって地表に現れる性質を持つものもいます。
また、見た目が似ていることから間違えられやすいヤスデとムカデですが、両者はまったく異なる性質を持っており、駆除の方法も異なります。ヤスデはムカデの幼虫ではありません。ヤスデのような虫を見かけたら注意深く観察し、ヤスデかどうか確認したうえで対策をしましょう。
以下に、ヤスデの成虫の発生を防ぐための対策を3つ紹介します。
環境整備
ヤスデは枯れ葉や落ち葉をエサにするため、成虫の発生を防ぐには、庭の草を刈り、落ち葉などは片付けておきます。
また、暗く湿った場所を好むため、植木鉢やプランターは地面に直接置かず、ラックに載せておきましょう。さらに、庭の水はけを良くすることも大切です。水たまりができやすい場所には、防草シートと砂利を重ねて敷くことで、水はけが改善できます。
侵入防止
ヤスデは細い隙間を通って侵入するため、家屋に隙間がないか確認することが重要です。
特にチェックが必要な箇所は、玄関、網戸、扉、換気扇や排気口などです。扉や網戸には、隙間をふさぐモヘアシールやシールテープを使用し、換気扇や排気口にはカバーを取り付けます。エアコンの排水ホースに専用のキャップを付けておくのも効果的です。
また、ヤスデは家の壁や塀を上って侵入する場合があります。対策として、ステンレス材やアルミテープ、養生テープなど滑りやすい材質のものを貼り付けておくと、ヤスデが滑って上れなくなります。
さらに、侵入しやすい箇所にヤスデ専用の忌避剤を散布するのも一つの方法です。ただし、効果は一時的で、人や動植物に影響をおよぼす可能性もあるため、注意書きをよく読んでから使用しましょう。
広域分散防止対策
ヤスデの卵や幼虫が付いた土や落ち葉、堆肥、植木などを不用意に移動させると、生息域の拡大につながるおそれがあります。ヤスデの発生地域から土や土が付いた植物を安易に移動させないよう、注意が必要です。
ヤスデの成虫が発生した場合の駆除方法3つ
次に、ヤスデの成虫が発生した場合に効果的な駆除方法を3つ紹介します。
ほうきではたき落として集める
ヤスデはほうきなどではたき落とすと、一時的に丸くなります。丸くなったヤスデを集めてごみ袋に入れ、袋の口をしっかり閉じておきましょう。
殺虫剤を使う
家のなかに入ってしまったヤスデには、スプレータイプの殺虫剤が効果的です。刺激を与えると嫌な臭いを放つため、むやみにつついたりせず、早めに駆除しましょう。
小さい子どもやペットがいる場合、殺虫剤を使えないことがありますが、その際は凍結タイプの殺虫スプレーがおすすめです。このスプレーでヤスデを凍らせ、動きを素早く封じることができます。ただし、殺虫成分が含まれていないため、スプレーがヤスデにしっかりかかっていないと、蘇生する可能性があります。
専門業者に依頼する
ヤスデのなかには毒性のある分泌液を放つ種類もあり、自力での駆除が難しいと感じる方もいるでしょう。そのような場合、害虫駆除を専門とする業者への依頼がおすすめです。
専門業者はインターネットで検索できますが、実際にはWebサイトに掲載された金額よりも高額な料金を請求されるケースもあるため注意が必要です。駆除にかかる費用は家や敷地の面積によって異なり、複数の業者から見積もりをとるなどして決めるとよいでしょう。
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また、ヤスデやムカデ、クモ、ナメクジなど不快害虫の駆除をご希望の方には、「不快害虫駆除サービス」がおすすめです。徹底した事前調査により、効率的に各種不快害虫を駆除します。
ヤスデの駆除・対策ならプロにおまかせ
ヤスデは落ち葉や枯れ葉を養分とし、暗く湿った環境を好みます。大量発生を防ぐためには、家の周りの草や落ち葉などを片付けておくことが大切です。
ヤスデは人を攻撃することはありませんが、毒性のある分泌液を放つ種類もいます。また、大量発生すると見た目に不快感を与えることがあり、専門業者に駆除を依頼したいと考える方もいるでしょう。
ダスキンの「戸建の虫さん侵入お断りサービス」や「不快害虫駆除サービス」では、ヤスデをはじめ、ムカデやダンゴムシ、ゴキブリ、クモ、ナメクジといった害虫の侵入防止や駆除をプロに任せることができます。ヤスデが大量発生するなど、自力での駆除が難しい方におすすめのサービスです。
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