ワンちゃんネコちゃんと
においの話②
消臭編

ペットと暮らしているとどうしても気になる“におい”について、引き続き林屋動物診療室の中角先生に伺いました。
消してほしくない、
“自分のにおい”
ワンちゃんネコちゃんとにおいの話① いい匂い編でお話ししたように、ワンちゃんやネコちゃんは “自分のにおい”が好きです。自分のにおいがするところは、安全な自分のテリトリー。だから、自分のにおいがするところは居心地が良いのです。
そんな大好きな“自分のにおい”は、出来るだけそのままにしてあげた方がいい。私たちの病院ではワンちゃんやネコちゃんが入院する時に、少しでも安心してくれるように、ご自宅から普段使っているタオルや毛布を持ってきてもらうことがあります。お預かりしたものは、よほど汚れてしまわない限り洗いません。その方が、ワンちゃんやネコちゃんも落ち着いてくれますから。
消臭剤の使いどころ
ワンちゃんやネコちゃんの“お気に入りの”においがしみ込んだベッドなどに、消臭剤をむやみに使うのは、獣医師としてはあまり好ましくありません。ですが、 ソファーなどトイレ以外の場所でおしっこをしてしまった時は、消臭剤を使う意味があります。一度おしっこのにおいがついてしまうと、犬や猫はその場所をトイレだと思ってしまうので、おしっこのにおいを消してあげないと、何度もそこでしてしまいます。そうならないためには、消臭剤は有効です。
衛生を保ちながら、
自分のにおいを残してあげる
においの心地よさの観点から考えると、出来るだけワンちゃんやネコちゃんの身の回りのものは洗わない方がいい。一方で以前お話したアレルギーの観点から見ると、ハウスダスト(ほこりやダニ)が溜まるのは良くない。衛生的な状態を保ちながらも、彼らのにおいを残してあげられるようにバランスをとることが、よりワンちゃんやネコちゃんにとって快適な環境をつくることに繋がります。例えば、寝床に使っているベッドと毛布は一度に洗わずに、交互に洗ってあげましょう。こうすることで、大好きな“自分のにおい”を残してあげることが出来ます。

中角 航
林屋動物診療室 総合医療センター 副センター長
獣医師・博士(獣医学)
山口大学大学院出身。趣味はフットサルと写真撮影。
林屋動物診療室について
1972年、京都府宇治市に開院。
「正確な診断、適切な治療、分かりやすい説明」をモットーに、病気の治療のみならず、今現在お困りのことを解決し、健康管理や予防などに共に取り組み、ご家族それぞれに寄り添った形の獣医療を提供。どうぶつ腫瘍センターなど専門医療から、ペットヘルスケアクリニックなど日常の病気の予防や健診まで、動物の健康を通じて人と地域の幸せに貢献することを目指している。
※2024年3月取材当時の情報です。