給湯器を交換するときの注意点
監修者
ダスキン給湯器テクニカルアドバイザー 河津勇司
給湯器交換企業にてガス給湯器取り付け作業を担当
これまでに施工経験数3000以上を実施。個人事業を立ち上げ、給湯器取り付け経験を積む。
現在は株式会社ダスキンにて給湯器施工及び後輩育成に従事。
目次
- 給湯器交換時の5つの注意点
- 経年劣化の確認と交換時期
- 安全性のチェック
- 工事の適正性と資格
- 事前準備とスムーズな依頼
- 定期点検の確認と時期を検討
- 給湯器の交換前の状態チェック
- 給湯器の交換は設置場所に注意
- 給湯器交換の成否は「設置場所」の理解が9割!
- まずはココから!自宅の給湯器の設置場所を確認する方法
- 屋外壁掛・屋外据置タイプの給湯器交換注意点
- ベランダ設置タイプの給湯器交換注意点
- PS(パイプシャフト)設置タイプの給湯器交換注意点
- 屋内設置タイプの給湯器交換注意点
- 管理組合への確認、忘れていませんか?
- 給湯器の設置場所は変更できる?費用と知っておくべきルール
- これで万全!業者に見積もりを依頼する前の準備リスト
- 設置場所の理解が、満足のいく給湯器交換の第一歩
給湯器交換時の5つの注意点
1.経年劣化の確認と交換時期
● 寿命の目安は8〜10年。それ以降は部品の劣化が進み、修理しても別の故障が起きやすくなります。
● リモコン操作の不具合や湯温の不安定、異音・異臭などが出たら交換検討のサイン。
2.安全性のチェック
● 排気口の詰まりや腐食は一酸化炭素中毒の原因になるため、交換前に必ず確認。
● 外装のサビや水漏れ、排気口の黒ずみも危険信号。
● 外壁塗装や改築で排気が滞留するような環境になっていないかも要注意。
3.工事の適正性と資格
● 給湯器の設置にはガス工事資格者による施工が必須。不適切な設置は火災や中毒のリスクあり。
● 屋外設置機器を囲って、屋内のような状態にするのはNG。排気が滞留して危険。
4.事前準備とスムーズな依頼
● 給湯器の型番・製造番号を写真で控えておくと、交換依頼がスムーズ。
● 設置条件によって交換作業は2〜3時間程度で完了することも。
5.定期点検の確認と時期を検討
● 各社とも9〜11年目の点検を推奨。有料点検サービスもあり。
● 排気筒や電源周りの清掃確認も重要。
給湯器の交換前の状態チェック
| チェック項目 | 異常の例 |
|---|---|
| 湯温の安定 | 急にぬるくなる/熱くなる |
| 排気口の状態 | 黒くすすけている/詰まりがある |
| 外装の劣化 | サビ・変色・水漏れ |
| 異音・異臭 | 焦げた臭い/ガタガタ音 |
| 設置環境 | 排気がこもる囲いがある/養生で囲まれた状態で使用している |
給湯器の交換は設置場所に注意
給湯器交換の成否は「設置場所」の理解が9割!
☞ 新しい給湯器を選び、業者さんとの話も順調。あとは工事日を待つだけ…。そんな時、もし当日になって「すみません、この給湯器はここに設置できません」と言われたら、どうしますか?
信じられないかもしれませんが、給湯器交換がうまくいくかどうかは、機種選びの前に「設置場所」を正しく理解しているかで、その9割が決まってしまいます。
● なぜ「設置場所」の確認が最重要なのか?
☞ この一つのポイントが、なぜそれほどまでに重要なのでしょうか。それは、ご自宅の給湯器がどこに置かれているかによって、交換の「ルール」と「難易度」が全く変わってくるからです。具体的には、以下の3つの重要事項に直結します。
あなたと家族の「安全」
給湯器の設置は、法律で壁との距離などが厳しく定められています。これを無視した工事は、火災や一酸化炭素中毒のリスクに繋がるため、絶対に許されません。
あなたの「お財布」(最終的な総額費用)
給湯器の交換費用は、設置場所の複雑さで大きく変わります。特殊な場所ほど、追加の工事費がかかるのがこの業界の常識です。この記事でチェックすべき点を知っておけば、高額な見積もりに驚くことなく、冷静に判断できるようになります。
あなたが選べる給湯器の「選択肢」
最新の多機能モデルに心惹かれても、マンションのPSボックスに収まらなければ設置は不可能です。設置場所によって、あなたが選べる機種が決まる可能性があります。
● この記事が「工事当日のしまった!」を防ぎます
☞ この記事は、あなたの給湯器交換における「失敗しないための教科書」です。事前にご自宅の設置場所に関する注意点を知っておけば、「こんなはずじゃなかった…」という後悔を未然に防ぐことができます。
● あなたの家はどれ?設置タイプは大きく分けて3種類
☞ まずは、ご自宅がどのタイプに当てはまるか、全体像を掴みましょう。
● 屋外設置…戸建て住宅の外壁や地面に設置されている、最も一般的なタイプ。
● PS設置…マンションの玄関横などにある、鉄の扉がついた箱(パイプシャフト)の中に設置されているタイプ。
● 屋内設置…家の中に設置されている、給排気に特に注意が必要なタイプ。
次の章から、それぞれのタイプ別に、具体的な注意点を詳しく見ていきましょう。
まずはココから!自宅の給湯器の設置場所を確認する方法
☞ 「さて、うちの給湯器はどのタイプなんだろう?」
専門業者さんに連絡する前に、ご自身で簡単なチェックをしてみませんか?わずか5分ほどの確認で、この後の業者さんとの話がスムーズに進みます。
● 給湯器に貼られた「暗号」を解読しよう!
☞ 実は、給湯器本体には、その正体をすべて記した「品番シール(銘板)」というものが貼られています。このシールに書かれた英数字の羅列こそ、業者さんが一番知りたい情報です。
このシールの写真をスマートフォンなどで撮っておくだけで、多くの業者さんは電話やメールでもかなり正確な見積もりを出してくれます。
品番の中にあるアルファベットには、下記のような意味が隠されていることが多いので、ぜひご自宅の給湯器と見比べてみてください。
● W ⇒ 壁掛タイプ
● RまたはS ⇒ 据置タイプ
● T ⇒ PSなど扉内設置タイプ
※ シールからは「号数」や「製造年」も読み取ろう
☞ 品番シールには設置場所以外にも宝の情報が眠っています。品番の近くにある「24号」といった数字は、お湯を作る能力を示す「号数」です。家族構成と合っているか確認をしてみましょう。
また「2025.09」のような製造年月を見れば、お使いの給湯器が何年経過しているかの目安にもなります。
● 【戸建ての方】お家の外をぐるっと見てみましょう
☞ 戸建て住宅の給湯器がどこにあるか、探してみてください。
● 家の外壁に掛かっている → 「屋外壁掛タイプ」です。
● 地面の上の台座に置かれている → 「屋外据置タイプ」です。
● 【マンションの方】チェックポイントは2箇所です
☞ マンションや集合住宅にお住まいの方は、ベランダか玄関横をチェックしてみましょう。
● ベランダの壁に掛かっている → それは「屋外壁掛タイプ(ベランダ設置)」です。
● 玄関横の鉄の箱の中に隠れている → それはマンション特有の「PS設置タイプ」です。
⇒ PS設置タイプだった方は、箱の扉を開けた状態と閉めた状態の両方の写真を撮っておくと、業者さんに状況が伝わりやすく、とても親切です。
※ なぜ設置タイプの確認が重要なのか?
☞ 交換時の最初のステップとして、設置タイプの確認がなぜこれほど重要なのでしょうか。それは、給湯器の排気方法が法律で厳しく定められているからです。例えば、壁掛タイプが設置されている場所に排気方法が全く異なる据置タイプを無理に取り付けることはできません。安全を確保し、後々のトラブルを防ぐためにも、現状の正確な把握が不可欠なのです。
【戸建て向け】屋外壁掛・屋外据置タイプの給湯器交換注意点
☞ 戸建て住宅の給湯器交換は、マンションに比べて自由度が高いと思われがちです。しかし、この「自由度の高さ」が思わぬ落とし穴になることもあります。 ご自宅の給湯器を確認し、3つのポイントをチェックしてみましょう。
● 屋外壁掛タイプ|排気ガスの「ご近所トラブル」に要注意!
☞ 家の外壁に掛かっている壁掛タイプ。省スペースで見た目もスッキリしていますが、交換時には2つの点に注意が必要です。
● 本体が少し大きくなるかも?
最近主流の省エネ給湯器「エコジョーズ」は、性能が高い分、昔のモデルより奥行きが数センチ大きくなることがあります。「交換したら、お隣との境界線からはみ出てしまった…」なんてことにならないよう、設置スペースの確認は必須です。
● 排気口の向きは、隣家への「配慮」
給湯器の排気ガスが、お隣の寝室の窓や換気扇に直接向かっていませんか?これが原因でご近所トラブルに発展するケースは少なくありません。必要であれば、排気の方向を変える「排気カバー」という部品を取り付けることで、こうした問題を未然に防ぐことができます。
● 屋外据置タイプ|足元の「土台」は大丈夫?
☞ 地面に置かれている据置タイプは、その土台のチェックが欠かせません。
長年の雨風で、給湯器を支えるコンクリートブロックが欠けたり、地面が緩んで傾いていたりしませんか?不安定な土台の上に新しい給湯器を置くのは非常に危険です。安全のため、業者さんには土台の補修も併せて相談しましょう。また、給湯器周りの雑草は、火災の原因にもなるため定期的にお手入れを。
● 全タイプ共通!火事を防ぐ「離隔距離」というルール
☞ そして、戸建ての給湯器交換で最も大切なのが、火災を防ぐための「離隔距離(りかくきょり)」という法律上のルールです。
これは、給湯器本体や排気口の周りに、「燃えやすいものを置いてはいけない、安全な空間を確保しなさい」という決まりのこと。例えば、「排気口の前方60cm以内には、物置やゴミ箱などを置かない」といった基準が定められています。
⇒ 交換を機に物置を新設したら基準違反に…なんてことになったら大変です。業者さんは必ずこの基準を守って工事をするため、場合によっては設置場所を少しずらす提案をされるかもしれません。
【マンション向け①】ベランダ設置タイプの給湯器交換注意点
☞ ご自宅の給湯器がベランダにあるのが、マンションで最も一般的なタイプの一つです。しかし、一般的で簡単そうに見えるベランダ設置にこそ、マンション特有の「落とし穴」が潜んでいます。交換当日に慌てないためにも、3つのポイントをしっかり確認しておきましょう。
【トラブル事例】作業スペースが狭すぎて追加費用が…?
☞ 「工事当日、業者さんから『作業スペースが狭いので、追加料金がかかります』と言われた」というのは、ベランダ設置で非常によくあるトラブルです。
新しい給湯器の搬入や工具を使った作業には、最低でも60cmほどの通路幅が必要とされています。
● 室外機や物置で、通路が狭くなっていませんか?
● 給湯器の目の前に、プランターなどを置いていませんか?
⇒ 事前にメジャーで幅を測っておく、ベランダ全体の写真を業者さんに送って確認してもらうなどするだけで、こうした当日の追加費用トラブルは防ぐことができます。
● 排気口の向きで、ご近所トラブルを回避!
☞ 給湯器から出る排気ガスが、お隣さんのリビングの窓や、いつも人が通る共用廊下に向いていませんか?「洗濯物に匂いがつく」「蒸気で廊下が濡れる」といったご近所トラブルを避けるためにも、排気口の向きは非常に重要です。
もし、排気の向きに問題がありそうな場合は、「排気カバー」という部品を取り付けることで、排気の方向を上や横に変えることができます。気になる方は、見積もりの際に業者さんに相談してみましょう。
● あなたのベランダは「命の道」?避難経路の最終チェック
☞ お隣との間にある、蹴破れるようになっている壁や床にある、はしごが格納されたフタは、火災などから命を守るための避難経路の目印です。
消防法では、この避難経路を物で塞ぐことを固く禁じています。給湯器も例外ではなく、通路を妨げるような形で設置することはできません。
⇒ 信頼できる業者さんなら必ずこのルールを守ってくれますが、「うちのベランダは避難経路なんだ」と知っておくだけでも、業者さんの説明への理解度がぐっと深まるはずです。
● 最重要!管理組合への「事前確認」を忘れずに
☞ マンションで給湯器を交換する上で技術的な問題と同じくらい重要なのが、そのマンション独自の「管理規約」です。規約によっては、交換工事の前に管理組合への事前申請が必須であったり、工事可能な曜日や時間が細かく定められていたりするケースが少なくありません。
中には、指定業者以外での工事を禁止している場合や、外観を揃えるために設置できる給湯器のメーカーや色まで決められていることもあります。後から「規約違反だった…」と慌てないためにも、業者さんに見積もりを依頼する前に、まずは管理室に連絡して交換のルールを確認することから始めましょう。
【マンション向け②】PS(パイプシャフト)設置タイプの給湯器交換注意点
☞ マンションの玄関横にある、あの鉄の扉。その中にあるのが、PS(パイプシャフト)設置タイプの給湯器です。
このPS設置は、いわば給湯器にとってオーダーメイドの格納庫。ぴったり収まっている分、交換には絶対に守らなければならない、戸建てにはない厳しいルールが存在します。
PS標準設置タイプ 「本体サイズの変更はできない」が鉄則
☞ PSの壁に、給湯器の顔だけが覗いているのがこのタイプです。一見すると壁掛タイプにも見えますが、全くの別物です。
● 最大のルールは「本体サイズの変更不可」
なぜなら、壁に開いている穴の大きさにフィットする後継機種を選ぶ必要があるからです。大きい機種は穴に入らず、小さい機種は隙間ができてしまい大変危険です。「家族が増えたから号数を上げたいな」と思っても、本体サイズが変わる場合は交換できない、ということを覚えておきましょう。
サイズダウンする場合でも、隙間を埋めるアダプターが必要で、施工精度が求められます。
PS扉内設置タイプ チェックすべきは「煙突の向き」
☞ 給湯器が鉄の扉の中に完全に隠れているのがこのタイプ。交換できる機種を見極めるための最重要ポイントは、本体の上から伸びている銀色の煙突(排気筒)です。
● 前方排気…最も一般的。煙突が扉の格子部分に向かって排気するタイプ。
● 上方排気…煙突が真上に伸びて、屋上などから排気するタイプ。
● 後方排気…煙突がPSの奥の壁を貫通して排気するタイプ。
⇒ この排気の向きと、交換予定の新しい給湯器の排気タイプが一致していないと設置できません。やむを得ない場合はメーカー条件に基づく詳細設計が必要です。業者さんが必ず確認するポイントですが、知っておくと話がスムーズです。
特殊なPS設置 「追加部材」で費用が変わることも
☞ 「うちのPS、排気が横向きに出ている…」
これは「アルコーブ設置」と呼ばれる特殊タイプで、追加の注意が必要です。
⇒ こうした特殊な設置方法の場合、排気を安全に外へ導くための「排気アダプター」という専用の部品が必要になることがほとんど。標準的なPS設置の交換とは異なり、専用の部品代とその取り付け費が追加でかかるため、総額が高くなる傾向があります。見積もりを見て驚かないよう、頭の片隅に入れておきましょう。
設置環境に応じて、排気トップの形状や防火処理も追加される場合があります。
● 命に関わる「不完全燃焼」の危険性
☞ なぜPS設置の交換ルールは、これほどまでに厳しいのでしょうか。それは、扉で密閉された狭い空間で給排気のバランスが少しでも崩れると、命に関わる「不完全燃焼」を引き起こす危険性が非常に高いためです。
隙間から空気が不規則に入り込んだり、排気ガスがPS内に滞留・逆流したりすると、ガスが正常に燃えずに猛毒の一酸化炭素が発生します。この最悪の事態を防ぐため、サイズや排気方法が完全に一致する後継機種を選ぶことが法律で義務付けられているのです。自己判断は絶対にせず、必ず専門業者に調査を依頼しましょう。
FE方式(強制排気)とFF方式(強制給排気)の選定も、PSの換気量や扉構造に応じて慎重に判断されます。
【特殊ケース】屋内設置タイプの給湯器交換注意点
☞ もし、あなたのご自宅の給湯器が家の中にあるのなら、この章を特に注意深くお読みください。
屋内設置タイプの交換は、他のどのタイプとも異なり、一つ間違えれば命に関わる「一酸化炭素中毒」のリスクと隣り合わせです。これは決して大げさな話ではありません。安全のための絶対的なルールを、一緒に確認していきましょう。
● FF式とFE式の違いとは?|室内の空気を使うか、使わないか
☞ 屋内設置の安全性を左右するのが、燃焼に使う空気をどこから取り込むか、という「給排気」の方式の違いです。
● FF式(強制給排気式)… 安心な「密閉型」
☞ 現在の主流で、最も安全なタイプです。専用の二重構造になった筒で、燃焼に使う空気も、排気ガスも、すべて屋外で完結させます。室内の空気を一切使わないため、一酸化炭素中毒のリスクが極めて低いのが特徴です。
● FE式(強制排気式)… 換気必須の「開放型」
☞ 室内の空気を使って燃焼し、排気ガスだけをファンで屋外に出す古いタイプです。換気が不十分だと、不完全燃焼を起こして室内に一酸化炭素が漏れ出す危険性があります。
● 【高額注意】排気筒(煙突)の交換もセットと心得る
☞ 車のエンジンを新品にしても、マフラーが錆びて穴だらけだったら、排気ガスが車内に充満して危険ですよね。
それと同じで、給湯器本体を新しくしても、古い排気筒(煙突)が腐食していればそこから排気漏れを起こす可能性があります。そのため、信頼できる業者さんほど、安全のために排気筒の同時交換を強く推奨します。これは安全のための必須投資と捉え、工事費とは別に高額な追加費用がかかる可能性を覚悟しておきましょう。
● 屋内式から屋外式への変更は可能?費用は?
☞ 結論から言うと、「可能ですが、非常に大がかりな工事になり、費用も高額」です。
給湯器の移動だけでなく、ガス管、水道管(給水・給湯)、リモコンの配線など、すべてを屋外まで延長する工事が必要になります。ガス管や水道管などを延長する、リフォームに近い大がかりな工事となるため、追加費用も非常に高額になります。安全性は格段に向上しますが、予算との兼ね合いを十分に検討する必要があります。
【マンション住人必見】管理組合への確認、忘れていませんか?
☞ 業者も決まり、機種も選んだ…。しかし、マンションにお住まいの場合、契約書にサインする前に、絶対にやらなければならないことがもう一つ残っています。
それは、マンションのルールブックである「管理規約」を確認し、「管理組合」へ連絡することです。「自分の家の給湯器だから大丈夫」と自己判断してしまうと、最悪の場合、工事が中断したり、ご近所トラブルに発展したりする可能性もあります。
そうならないために、最低限、以下の3つのポイントは必ず確認しておきましょう。
1.工事の前に、届け出は必要ですか?
☞ 給湯器の交換は、どうしても作業音が出てしまうもの。他の居住者への配慮として、多くのマンションでは「工事をする際は、事前に申請書を出してください」というルールを設けています。
エレベーター内に「〇月〇日、〇〇号室で給湯器の交換工事を行います」といった貼り紙を見たことがあるかもしれません。あれが、まさに事前の申請が行われている証拠です。工事の1〜2週間前には申請が必要な場合が多いので、早めに確認しておきましょう。
2.工事を頼める業者や、使える給湯器に決まりはありますか?
☞ 「工事は、建物の構造を熟知しているこの業者に頼んでください」
マンションによっては、このように指定業者が決められている場合があります。
また、建物の外観を揃えるために、PSの扉の色に合わせた給湯器本体の色などが推奨されていることもあります。自分で探した業者の方が安いから、と安易に決めてしまう前に、マンション独自のルールがないか、必ず確認することが大切です。
3.PSの壁などに、穴を開けても大丈夫ですか?
☞ これは、省エネ給湯器「エコジョーズ」に交換する際に、特に重要な確認事項です。
エコジョーズは、運転中に結露水が出るため、それを排水するための「ドレン管」という細い管が必要になります。
しかし、PSの壁はあなたの所有物ではなく、マンション全体の「共用部分」です。廊下の床に勝手に穴を開けられないのと同じで、共用部分への加工は、管理組合の許可が絶対に必要です。この確認を怠るのが、最も大きなトラブルの原因になります。
給湯器の設置場所は変更できる?費用と知っておくべきルール
☞ 「今の給湯器、ちょっと邪魔な場所にあるから、交換を機に移動できないかな?」
そう考える方は少なくありません。しかし、給湯器の設置場所の変更は、想像以上に大がかりな工事になることをまず知っておく必要があります。
戸建てと集合住宅では設置可能な場所やスペースに違いがあり、マンションでは管理規約や避難経路の制約も考慮する必要があります。
● なぜ設置場所の変更は、あまり推奨されないのか
☞ 業者さんがあまり設置場所の変更をすすめないのには、はっきりとした理由があります。
とにかく費用が高額になる
☞ 最大の理由は、やはり費用です。給湯器本体を移動させるだけでなく、ガス管、水道管(水とお湯の2本)、リモコンの電気配線など、すべてのライフラインを新しい場所まで引っ張ってくる必要があります。
お湯が出るまでの時間が、今までよりかかるようになる
☞ キッチンやお風呂から給湯器が遠くなるほど、蛇口をひねってからお湯が出てくるまでの時間が長くなります。これは毎日の小さなストレスになりかねません。
家の外観を損ねる可能性も
☞ 延長した配管が、壁の外側を這う「露出配管」になってしまうこともあります。家の見た目を気にする方にとっては大きなデメリットと言えるでしょう。
● 移動・変更は「交換」ではなく「リフォーム」と考える
☞ 費用の考え方として、これは「給湯器の交換」ではありません。ガスや水道の配管をやり直す「リフォーム工事」と捉えるのが正解です。
当然、標準的な交換費用とは全く異なり、リフォームに近い大がかりな工事となるため、追加費用も非常に高額になります。
● 安全のために定められた絶対のルール「設置基準」
☞ たとえ費用をかけて移動するとしても、どこにでも設置できるわけではありません。安全を守るための法律「設置基準」をクリアする必要があります。その中で最も重要なのが「離隔距離(りかくきょり)」です。
これは、火災などを防ぐために、給湯器の周りに確保しなければならない「安全な空間」の決まりです。
● 給湯器の排気口から前方 … 60cm以上
● 給湯器の上方下方側方 … 15cm以上
⇒ こうした厳しい基準があるため、空いているからという理由だけで安易に場所を移動できないケースがほとんどなのです。
これで万全!業者に見積もりを依頼する前の準備リスト
☞ さあ、いよいよ業者さんへ連絡する最終準備です。
「百聞は一見に如かず」と言うように、スマートフォンなどで数枚写真を撮っておくだけで、見積もりの依頼がスムーズかつ正確になります。業者さんとのやり取りを最小限にし、「聞いていた話と違う…」という行き違いを防ぐための、最強の準備リストです。
準備1.【全員必須】給湯器本体の「型番シール」の写真
☞ まず、何よりも先に撮ってほしいのが、給湯器の「パスポート」とも言える1枚です。
● どこにある? … 給湯器本体の正面か側面に貼られている、銀色か白色のシールです。
● 何がわかる? … メーカー名、型番、ガスの種類(都市ガス13A/12A、LPガス)や設置タイプ(屋外壁掛型、PS設置型など)など、見積もりに必要な情報のほぼ全てがここに書かれています。
⇒ 文字がはっきり読めるように、真正面からピントを合わせて撮影しましょう。
準備2.【全員必須】給湯器の「全体像」と「配管」の写真
☞ 次に、少しだけ後ろに下がって、給湯器の全体像を撮影します。
● なぜ必要? … この一枚で、業者さんは「あ、壁掛タイプですね」「配管はこう繋がっていますね」と、設置状況を瞬時に理解できます。
● 撮影のコツ … 本体だけでなく、下に伸びている配管類までしっかりフレームに収めるのがポイントです。
配管の種類(給湯・給水・追い焚き・ガス)や接続径も見積もりに影響します。
準備3.【マンションPS設置の方のみ必須】扉の「開け・閉め」写真
☞ ご自宅がマンションのPS設置タイプだった方は、仕上げにもう2枚だけお願いします。
● 扉を「閉めた」状態の写真 … これで、PS扉の見た目や排気用のガラリ(格子)の形状がわかります。
● 扉を「開けた」状態の写真 … これが一番の重要情報です!中の給湯器がどう収まっているか、煙突がどの方向を向いているかなど、PS設置の謎をすべて解き明かす一枚になります。
⇒ このリストにある写真をメールに添付するだけで、あなたはもう「事情をよく分かっているお客様」。きっと、業者さんもスムーズで的確な見積もりを提示してくれるはずです。
まとめ 設置場所の理解が、満足のいく給湯器交換の第一歩
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
☞ 給湯器の「設置場所」という、少し専門的で複雑なテーマでしたが、今のあなたにはもう、ご自宅の状況を正確に把握し、業者さんと対等に話せるだけの知識が備わっています。
最後に、満足のいく給湯器交換を実現するための、最も大切なポイントをもう一度だけ振り返っておきましょう。
● まず知るべきは「カタログ」ではなく「我が家」
☞ 交換成功のスタート地点は、ご自身の給湯器が、戸建ての壁掛なのか、マンションのPS設置なのかをしっかり把握することです。
● 場所ごとの「落とし穴」を事前に予測する
☞ ベランダの狭さ、PSのサイズ制限、屋内設置の換気ルールなど、場所特有の注意点を先に知っておけば、当日の「こんなはずじゃなかった…」は防げます。
● 「写真」という最強の武器を準備する
☞ 正確な見積もりとスムーズなやり取りの鍵は、型番シールや設置状況がわかる写真です。準備万端で、自信を持って専門業者へ相談しましょう。
⇒ 給湯器の交換は、決して安い買い物ではありません。だからこそ、事前の少しの準備と知識が、この先10年の安心と快適な暮らしに繋がります。
この記事が、あなたの満足のいく給湯器交換の、確かな第一歩となれば幸いです。
※掲載されている情報は、発表時点のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。掲載する文書・写真・イラスト・動画・ソフトウェア・リンクその他各種情報等は、当社が全ての情報の正確性および完全性を保証するものではありません。当社は、当サイトに掲載する内容の全部または一部を予告なく変更する場合があります。ただし当社が当サイトを更新することをお約束するものではありません。また、当サイトにリンクが設定(当サイトからのリンクも含む)されている他のサイトから取得された各種情報によって生じた損害についても、一切の責任を負いません。
監修者
ダスキン給湯器テクニカルアドバイザー 河津勇司
給湯器交換企業にてガス給湯器取り付け作業を担当
これまでに施工経験数3000以上を実施。個人事業を立ち上げ、給湯器取り付け経験を積む。
現在は株式会社ダスキンにて給湯器施工及び後輩育成に従事。





