給湯器のお湯がぬるい原因
監修者
ダスキン給湯器テクニカルアドバイザー 河津勇司
給湯器交換企業にてガス給湯器取り付け作業を担当
これまでに施工経験数3000以上を実施。個人事業を立ち上げ、給湯器取り付け経験を積む。
現在は株式会社ダスキンにて給湯器施工及び後輩育成に従事。
目次
- 給湯器のお湯がぬるい主な原因
- 外気温の低下による配管の凍結
- ドレン配管の凍結(エコジョーズなど)
- 給湯器本体の凍結防止機能が働いていない
- 設定温度が低い、またはリモコンの誤操作
- 機器の不具合や部品の劣化
- 対処のヒント
- 給湯器のお湯がぬるい・温度が安定しない原因特定のチェック項目
- なぜ?お湯がぬるい・安定しない【考えられる原因をチェック】
- まずはココを確認!自分でできる給湯器のリモコン設定と対処法
- 見落としがち!給湯器本体の電源とガス供給の確認ポイント
- 実は給湯器本体の故障じゃないかも?意外な原因とチェックポイント
- もしかしてコレ?お湯トラブルの【季節限定】原因と対策
- 解決しない場合は?専門業者に相談すべきサイン
- お湯がぬるい状態を放置する【3つの意外なリスク】
- 実はカンタン!給湯器の寿命を延ばす【日頃のメンテナンス】
- お湯のトラブルは、落ち着いた対処と早めの相談が解決の鍵
給湯器のお湯がぬるい主な原因
1.外気温の低下による配管の凍結
☞ 冬季に外気温が下がると、給湯器本体や配管が凍結し、お湯が出にくくなることがあります。
⇒ 特に屋外配管の露出部が凍結しやすく、給湯栓から水しか出ない、または流量が不安定になることがあります。
2.ドレン配管の凍結(エコジョーズなど)
☞ 高効率給湯器では、燃焼時に発生するドレン水が排出されますが、ドレン配管が凍結すると排水できず、エラー表示が出ることがあります。
⇒ この状態では給湯器が正常に作動せず、お湯がぬるくなる、または出ないことがあります。
3.給湯器本体の凍結防止機能が働いていない
☞ 電源プラグが抜けていると、凍結防止ヒーターが作動せず、機器内部が凍結する可能性があります。
⇒ リモコンが「切」でも電源が入っていれば凍結防止機能は作動します。
4.設定温度が低い、またはリモコンの誤操作
☞ リモコンの設定温度が低くなっている場合、意図せずぬるいお湯しか出ないことがあります。
⇒ 混合水栓の設定やサーモスタットの影響も考慮が必要です。
5.機器の不具合や部品の劣化
☞ 灯油残量検知部品などの不具合により、給湯温度が安定しないケースもあります。
⇒ 長期使用によるセンサーやバルブの劣化も原因となることがあります。
対処のヒント
● 外気温が上がるまで待つ(凍結が原因の場合)
● リモコンの設定温度を確認・調整する
● 電源プラグが抜けていないか確認する
● ドレン配管の凍結が疑われる場合は、自然解凍を待ち、エラーリセットを試す
● 故障による不具合が疑われる場合は、メーカーや施工業者に相談する
給湯器のお湯がぬるい・温度が安定しない原因特定のチェック項目
なぜ?お湯がぬるい・安定しない【考えられる原因をチェック】
☞ お湯がぬるかったり、温度が安定しなかったりする時、原因は一つだけとは限りません。まずは落ち着いて、ご自宅の給湯器に何が起きているのか一緒に可能性を探っていきましょう。
● 冬場の水温差による一時的な影響
☞ 冬の寒い時期にお湯がぬるく感じるのは、故障ではないかもしれません。これは、給湯器が水を温める際に元の水道水の温度が非常に低いためです。温めるのに時間がかかったり、設定温度までなかなか到達できなかったりすることがあります。
特に外気温が5℃を下回るような日は、給湯器の能力が追いつかず、お湯がぬるく感じてしまうことがあるのです。
※ 設定温度を40℃にしていても、寒い時期は50℃前後に設定することで改善する場合があります。
● 蛇口やシャワーの水圧・水量が原因かも
☞ お湯の温度が不安定になったり、突然ぬるいと感じる時は給湯器本体ではなく、実は蛇口やシャワーの出し方に原因があることもあります。
考えられるのは、主に次の二つのケースです。
● シャワーの勢いが強すぎる
お湯を勢いよく出しすぎると、給湯器がお湯を供給する量や温度の調整が追いつかなくなることがあります。結果として、ぬるいと感じてしまうかもしれません。
● 複数箇所での同時使用
キッチンや洗面所など、同時にいくつかでお湯を使うと、給湯器への負担が増えます。これにより、一時的に温度が不安定になることがあるのです。例えば、一般的な家庭用給湯器(24号というタイプが多いです)でも、寒い時期に複数の蛇口で高温のお湯を一度にたくさん使うと、温度が安定しにくくなる場合があります。
※ 水圧が高すぎる場合だけでなく、低すぎる場合も温度不安定の原因になります。
● 給湯器本体の経年劣化や故障
☞ 長く使い続けている給湯器なら、内部の部品が老朽化(長期間の使用で劣化すること)している可能性があります。これが、お湯の温度が不安定になる、あるいはぬるくなる主な原因となるでしょう。
特に、次のような重要な部品の不具合は、お湯の温度調整に直接影響を与えてしまいます。
● 熱交換器 ガスを燃焼させて水を温める中心的な部品です。
● 水量センサー 給湯器に流れる水の量を感知するセンサー。
● ガス比例弁 ガスの供給量を調整する役割を持つ部品。
⇒ 給湯器を設置してから8年を超えると、内部部品の劣化による故障リスクが徐々に高くなってきます。そのため、お湯の温度が設定通りにならないという症状が出やすくなるのです。給湯器の一般的な寿命が約10年と言われるのは、こうした部品の劣化が進むことが理由となっています。
※ 給湯器の寿命は一般的に10~15年とされ、10年以上使用している場合は部品劣化による温度不安定が起こりやすくなります。
まずはココを確認!自分でできる給湯器のリモコン設定と対処法
☞ お湯の温度がおかしいと感じたら、まずはリモコンを確認してみましょう。専門業者を呼ぶ前に、ご自身で簡単に試せる対処法がいくつかあります。落ち着いて1つずつ確認することで、意外な原因が見つかってすぐに解決することもあります。
● 設定温度は適切ですか?(特に冬場)
☞ 「お湯がぬるい」と感じる原因で意外と多いのが、リモコンの設定温度が適切でないケースです。給湯器は設定された温度まで水を温めて供給しますが、特に冬場は水道水の温度(給水温度)が大幅に下がってしまいます。そのため、夏場と同じ設定温度のままでは、お湯がぬるく感じてしまうことがあります。
例えば、夏に40℃設定で快適だったとしても、冬は給水温度が低くなる分、40℃だとぬるく感じます。その場合は、少し高めの42〜43℃に設定を上げるとちょうど良いお湯加減になることが多いでしょう。
⇒ 家族が別々に設定温度を変えていたり、節約のために低く設定したまま忘れていることもあります。まずは一度、リモコンの温度設定をしっかり確認してみてください。もし設定を変えたばかりでぬるいと感じる場合は、しばらく時間を置いてから再度試すと良いでしょう。給湯器が新しい設定温度に調整するまでに少し時間がかかることがあるからです。
● リモコンの「運転」スイッチを入れ直す
☞ 給湯器の不具合は、パソコンのフリーズと同様、一時的な誤作動で起きているケースも少なくありません。リモコンの表示が消えている、ボタンが反応しないなど急なトラブルの時は慌ててしまうかもしれません。しかし、リモコンの「運転」スイッチを入れ直すことで、復旧することがあります。これは「リモコンリセット」と呼ばれる方法です。
⇒ リモコンのリセットをすると、給湯器の内部システムが再起動されます。システムが一時的に混乱していたり、軽微な電気的エラーが発生している場合は、リセットをかけることで正常な状態に戻る可能性があります。リセット後も問題が続く場合は、より深刻な原因が考えられます。まずは以下の【リセットの正しい手順】を確認しながら、リモコンのリセットをしてみましょう。
【リセットの正しい手順】
1.まず、リモコンの「運転」スイッチを「切」にしてください。画面が消えている場合は、一度押してみて反応がなければそのまま次に進みましょう。
2.すぐに電源を入れ直さず、30秒〜1分程度待ちます。この間に給湯器の内部システムが完全に停止し、リフレッシュされます。
3.再び「運転」スイッチを「入」にします。
4.画面にエラー表示がないか、そして通常通りお湯が出るかを確認してみましょう。
● 複数のリモコンがある場合の「優先」設定
☞ キッチンと浴室、両方に給湯器のリモコンがある場合、どちらかのリモコンで温度を変えられないといった状況に戸惑うこともあるでしょう。これは、給湯器の「優先設定」(複数のリモコンがある時に、操作できるリモコンを一つに限定する機能)が影響しているのかもしれません。
優先設定は、複数のリモコンがある場合に活躍する便利な機能です。例えば、お風呂に入っている間に浴室のリモコンでお湯の温度の調整や追い焚き操作をする際、キッチンなど他の場所から誤って操作されないように、特定の場所のリモコンだけを優先的に使えるようにする役割があります。しかし、この機能が意図せずオンになっていると、他のリモコンからは操作ができなくなってしまいます。
⇒ 普段使用しているお湯の温度と違うと感じる場合は、お湯を使いたい場所のリモコンに「優先」ランプがついているか確認してみてください。もしついていなければ、そのリモコンの「優先」ボタンを押して操作権を切り替えましょう。これにより、目的のリモコンで温度設定の変更が可能になるはずです。
お使いのリモコンに「優先」ボタンがない場合もあります。機種によってはこの機能がないものや、自動で優先される(自動優先切替)機能の場合もあります。また「チャイルドロック」が関係する場合もあります。その場合は、他のリモコンに優先設定がされていないかを確認するだけで十分です。
見落としがち!給湯器本体の電源とガス供給の確認ポイント
☞ リモコンの設定をチェックしても、まだお湯が出ない。そんな時は、給湯器本体への電気とガスの供給に目を向けましょう。意外と見落としがちな基本的なポイントですが、ここがトラブルの原因になっていることは少なくありません。
⇒ 専門業者を呼ぶ前に、ご家庭で安全に確認できる3つの大切なポイントを見ていきましょう。
● ブレーカーは落ちていませんか?
☞ 給湯器が動かない原因として、まず確認したいのがご自宅のブレーカーです。お湯が全く出ないという状況でなくても、給湯器の温度が不安定だったり、ぬるく感じる時も、電気供給の一時的な乱れが原因となっているケースがあります。まずは念のため、ご自宅のブレーカーが落ちていないか確認してみましょう。
⇒ ご自宅の洗面所や玄関などにある「分電盤」(家全体の電気を管理する箱)のフタを開けてみてください。中にたくさんのスイッチが並んでいるはずです。
【ブレーカーの確認ポイント】
● 「給湯器」と書かれた専用ブレーカーがあるか
「給湯器」という表記が見当たらなくても、「台所」「お風呂」「暖房」など、お湯を使う場所や関連するブレーカーを確認しましょう。
あるいは、家全体の電気を管理する一番大きなメインブレーカーが落ちていないかもチェックしてみてください。
● スイッチの向きはどうか
もしそのスイッチだけが周りと違う向き(下向きや「切」の状態)になっていたら、指で持ち上げて周りのスイッチと同じように上向きの「入」にしてみてください。
特に夏の落雷後や、一度に多くの家電を使った際に安全のためにブレーカーが落ちることがあります。
【要注意】ブレーカーが何度も落ちる場合は?
☞ ブレーカーを「入」に戻してもすぐにまた落ちてしまう。この症状が繰り返されるなら、絶対に無理にスイッチを入れ直さないでください。これは、給湯器の内部や配線で「漏電」(電気が本来流れてはいけない場所に漏れてしまう状態)という深刻な電気トラブルが起きているサインかもしれません。漏電は感電や火災につながる非常に危険な状態です。ただちに専門の業者に連絡し、漏電調査を含めた詳細な点検を依頼しましょう。
● 給湯器の電源プラグはしっかり挿入されていますか?
☞ ブレーカーに異常がなければ、次に見るべきは給湯器本体の電源プラグです。このポイントは意外と見落としがちかもしれません。
給湯器は、屋外の壁にある「防水コンセント」(水がかかっても安全なように作られたコンセント)から電源を取っています。このプラグが、庭の手入れをした時など、何かの拍子で抜けかかっている可能性があるのです。見た目にはしっかり挿さっているように見えても、実は接触不良を起こしていることもあります。
⇒ 一度プラグを奥までしっかり差し込み直してみましょう。接触不良の改善や内部エラーのリセットがされることもあります。安全のためにも、プラグの抜き差しをする際は、ブレーカーを一度「切」にしてから行うのがおすすめです。
※ 電源プラグの場所は、マンションや集合住宅ではベランダや扉内に設置されている場合もあります。あらかじめ設置場所を確認しておくとよいでしょう。
● ガスの元栓は開いていますか?(ガスコンロが使えるか確認)
☞ ガス給湯器の場合、電気が正常に供給されていても、肝心のガスが来ていなければお湯は出ません。まずはガスの元栓が閉まっていないか確認しましょう。
⇒ ガスの元栓が完全に閉まっているわけではないが、何らかの原因で完全に開ききっていなかったり、途中で少し閉まってしまっていたりする可能性があります。このような状態だと、給湯器に十分なガスが供給されず、設定温度まで水を温めきれなくなったり、安定した燃焼ができなくなったりします。結果として、「ぬるいお湯しか出ない」あるいは「温度が不安定になる」といった症状につながることがあります。
また、ガスメーターの安全装置(マイコンメーター)が、完全にガスを遮断するほどではないが、一時的な異常を検知してガス供給量を制限しているケースも考えられます。
【ガスの確認手順】
1.ガスコンロが使えるか確認
まず確認してほしいのは、ご自宅のガスコンロ(もしあれば)が使えるかどうかです。もしガスコンロも使えないようであれば、ガスメーターの「マイコンメーター」が作動してガスが遮断されているか、ガスの供給自体に問題がある可能性が高いでしょう。
2.ガスメーターの安全装置
マイコンメーターは、地震などの強い揺れやガス漏れを感知すると、安全のために自動でガスを遮断する機能(安全装置)が付いています。メーターのリセットボタンを押すことで復旧することがありますが、不明な場合は無理に触らず、必ずガス会社に連絡してください。
※ 機種によっては「復帰ボタンを3秒以上押す」など操作が異なることがあります。取扱説明書を確認するか、ガス会社に問い合わせてください。
3.給湯器本体の元栓
給湯器本体の近くにあるガスの元栓(多くの場合、黄色いハンドルが付いています)も、完全に開いているか確認してみましょう。
● 横向きになっている場合は「閉」
● 縦向きになっている場合は「開」
⇒ ガスは引火性のある燃料であり、その供給に関するトラブルは常に安全性と直結します。「お湯がぬるい」という症状の裏に、ごく軽微なガス漏れなど、放置すると危険な状態が隠れている可能性も考えられます。そのため、専門家を呼ぶ前にできる安全確認のステップとして、元栓の確認は非常に大切です。
実は給湯器本体の故障じゃないかも?意外な原因とチェックポイント
☞ 給湯器の不調でお湯がぬるい、安定しないと感じる時、「給湯器が壊れたかな?」と真っ先に心配になるかもしれません。しかし、実は給湯器本体の故障ではなく、意外な場所に原因が隠されているケースも少なくありません。
⇒ ここでは、給湯器本体の確認が終わった後でも、ぜひチェックしてほしい「意外な原因」を2つご紹介します。
● 給湯器の「給水フィルター(ストレーナー、水抜き栓フィルター)」が目詰まりしていませんか?
☞ お湯がぬるいと感じる場合、給湯器の入り口にある「給水フィルター」(ストレーナー、水抜き栓フィルターとも呼ばれ、水道水中のゴミやサビを除去する網)が目詰まりしているかもしれません。このフィルターが詰まると、給湯器へ供給される水の量が減ってしまいます。
⇒ 給湯器は、取り込んだ水の量に合わせてガスの燃焼量を調整してお湯を温めます。そのため、水の量が少ないと十分な熱を伝えきれず、お湯がぬるくなったり、温度が不安定になったりするのです。例えば、以前は問題なく使えていたのに、最近になって急にお湯の出が悪く、しかもぬるいと感じるなら、このフィルターの目詰まりを疑ってみましょう。
【確認と対処法】
給湯器の電源を切り、止水栓を閉めた後に給水フィルターを外して古い歯ブラシなどでゴミを取り除きます。ただし、機種によってフィルターの場所や分解方法が異なるため、必ず取扱説明書を確認してください。少しでも不安がある場合は、無理せず専門業者に相談しましょう。
● 「混合水栓」の不具合がお湯の温度を不安定に
☞ 特定の蛇口だけお湯がぬるい、あるいは温度が安定しないという症状が出ているなら、給湯器ではなくその場所にある「混合水栓」(お湯と水を混ぜて温度調整する蛇口)に不具合がある可能性もあります。
⇒ 混合水栓の内部部品が劣化すると、お湯と水のバランスが崩れてしまうことがあるのです。
例えば、サーモスタット混合水栓が故障すると、設定した温度を維持できず、急に熱いお湯が出たり冷たい水が出たりを繰り返すことがあります。また、逆流防止弁の不具合などで、水栓内部で水が逆流し、お湯と混ざってしまう「混合」が起こることもあります。給湯器本体や他の蛇口では問題なくお湯が出るのに、特定の場所だけ不調なら、まずその水栓に原因があるかもしれません。
【確認と対処法】
混合水栓の不具合の改善には専門知識を要することが多いため、水道業者や給湯器の専門業者に作業依頼することをおすすめします。
もしかしてコレ?お湯トラブルの【季節限定】原因と対策
☞ これまでの確認で解決しないなら、給湯器の不調は季節や天候が原因かもしれません。特に冬の厳しい寒さや夏の激しい雷雨の後は、給湯器特有のトラブルが起こりやすくなります。
⇒ ここでは、季節限定で考えられる原因と、ご自身でできる対策について見ていきましょう。
● 冬場の「凍結」によるトラブルと予防策
☞ 冬場、外気温が氷点下になるような寒い日には、給湯器の配管が「凍結」(配管内の水が凍ってしまうこと)して、お湯が出なくなることがあります。これは給湯器の故障ではなく、水の通り道が塞がれている状態です。
⇒ 配管が凍結すると、お湯が全く出なくなったり、出てもぬるかったり、チョロチョロとしか出なかったりします。水道管が破裂してしまうと、大規模な水漏れにつながる非常に危険な状態です。
【凍結を防ぐための予防策】
● 給湯器の電源は入れっぱなしに
ほとんどの給湯器には「凍結防止ヒーター」(配管を温めて凍結を防ぐ電気ヒーター)が内蔵されています。電源プラグを抜いたり、ブレーカーを切ったりしてしまうと、このヒーターが作動しません。冬場は給湯器の電源を入れっぱなしにしておきましょう。※一部の古い機種や簡易型給湯器には凍結防止ヒーターが搭載されていない場合もあります。
● 浴槽の水を少し残す
浴槽に水をためておくのも有効な方法です。風呂アダプター(浴槽にお湯が出る部分)の循環金具よりも約5cm以上水が残っていれば、浴槽と給湯器をつなぐ「ふろ配管」(お風呂の追い焚きなどに使われる配管)の凍結を防止できます。
● 「水抜き」で配管の水を抜く
長期間家を空ける場合などには、給湯器や配管から水を抜く「水抜き」を行うと効果的です。ただし、この作業は機種によって手順が異なります。必ず取扱説明書を確認して行ってください。不明な場合は、無理せず専門業者に相談しましょう。
※ もし凍結してしまったら
万が一凍結してしまったら、日中の気温上昇で自然に溶けるのを待つのが最も安全です。熱湯をかけると配管が破損する恐れがあるので、絶対に避けてください。タオルを巻いてぬるま湯をゆっくりとかける方法もありますが、自信がない場合は業者に依頼するのが賢明です。
● 大雨や落雷後の「安全装置」作動
☞ これまでの確認で原因がわからない場合、大雨や落雷といった悪天候が原因の可能性があります。台風や夏の夕立など、激しい気象現象の後に給湯器が動かなくなることは珍しくありません。
⇒ 屋外に設置されている給湯器は頑丈に作られていますが、想定を超える悪天候は別です。安全装置が働いたり、電気が一時的にエラーを起こしたりすることがあります。
【大雨や強風の影響】
● 給排気口への雨水の侵入
台風や猛烈な雨風の際、給湯器がガスを燃やすための空気の通り道である「給排気口」(燃焼に必要な空気を取り入れ、燃焼後の排気ガスを出す穴)から雨水が吹き込んでしまうことがあります。
完全に水浸しになって停止するほどでなくても、濡れることで一時的に誤作動を起こして燃焼が不安定になったり、温度センサーが正常に機能しなくなる可能性があります。結果として、設定温度まで温めきれず「ぬるいお湯」になる、燃焼が断続的になり「温度が安定しない」といった症状が出ることがあります。
【落雷の影響】
● 雷サージによる電気系統への影響
夏の夕立などで近くに雷が落ちた後、リモコンが真っ暗になるケースも非常に多いです。これは、落雷で発生した異常な高電圧、いわゆる「雷サージ」(落雷によって発生する瞬間的な過電圧や過電流)が電線を伝ってご家庭に侵入し、給湯器のコンピューターに影響を与えるのが原因です。
完全に故障して動作不能になるほどではなくても、一部の機能が不安定になることで、温度制御がうまくいかなくなり、「お湯がぬるい」「温度が安定しない」といった症状を引き起こす可能性があります。
多くは一時的なフリーズのようなものなので、電源のリセット操作(ブレーカーのON/OFFなど)で復旧する可能性があります。ただし、まれに内部の電子部品が損傷してしまうこともありますので注意が必要です。
※ 落雷が頻発する地域では、雷ガード付きコンセントや避雷器の導入もお勧めします。
【天候が回復した後に試すべきこと】
1.安全確保と天候の回復を待つ
雷が鳴っている最中や暴風雨の際に、屋外の給湯器に近づくのは大変危険です。まずはご自身の安全を第一に、天候が落ち着くのを待ちましょう。大雨が原因の場合は、給湯器内部が自然に乾くまで、数時間ほど時間をおくと効果的です。
2.給湯器本体の電源を入れ直す
天候が回復したら、給湯器本体の電源プラグの抜き差しを行います。屋外の防水コンセントからプラグを抜き、約1分待ってから再度しっかり差し込んでみてください。もしプラグの位置が分からない場合は、家全体のブレーカーを一度落としてから入れ直す方法で試すこともできます。
このリセットでリモコンが復旧すればひと安心です。しかし、もし直らない場合は、落雷などで内部の部品が損傷した可能性も考えられます。その際は、専門業者による点検を依頼しましょう。
解決しない場合は?専門業者に相談すべきサイン
☞ ここまでご紹介した対処法を試しても給湯器の不調が改善しない。あるいは、普段とは違う異変を感じる。そんな時は、迷わず専門業者に相談しましょう。給湯器のトラブルを放置すると、さらに大きな故障につながったり、思わぬ事故の原因になったりする可能性もあります。
⇒ ご自身の安全のためにも、以下のサインが見られたら、すぐにプロの力を借りるのが賢明です。
● 上記を試しても改善しない・頻繁に繰り返す
☞ リモコンのリセットや設定温度の調整、ブレーカーの確認など、ご自身でできる対処法を試してみてもお湯がぬるい状態が解決しないことがあります。また、一度は直ったように見えても、すぐに同じ症状が再発する場合も要注意です。
⇒ これは、軽微な一時的エラーではなく、給湯器内部の部品が物理的に故障している可能性が高いと言えます。一時的なシステムエラーであればリセットで復旧するでしょう。しかし、根本的な原因である部品の劣化や損傷が治っていないため、すぐにまた同じトラブルで停止してしまうと考えることができるのです。例えば、エラーコードが繰り返し表示される場合、内部の基板(電気回路を構成する板)やセンサーに問題があることが多く見られます。こうしたサインは、給湯器が限界を迎えている可能性を示唆しているのです。
● 異音・異臭・水漏れなど危険な症状がある
☞ 給湯器から普段とは違う「異音」がする。ガス臭い「異臭」が漂う。あるいは本体から「水漏れ」している。これらは、目に見える最も危険なサインです。このような症状は、給湯器の内部で深刻な問題が起きている証拠。決して自己判断で使い続けず、直ちに専門業者に連絡してください。
【危険なサインの具体例】
● 異音
「キーン」「ピー」といった高い金属音や、爆発音のような「ドン」という大きな着火音は異常です。特に「不完全燃焼」(ガスが正常に燃焼せず、有害な一酸化炭素が発生する現象)を起こしている可能性があり、非常に危険な状態と言えます。
● 異臭
ガスの臭いがする場合、ガス漏れの危険性があります。すぐにガスの元栓を閉め、窓を開けて換気し、火気の使用は中止してください。迷わずガス会社や専門業者に緊急連絡しましょう。
● 水漏れ
給湯器本体や配管から水が漏れている場合、内部の部品が破損しているか、接続部が緩んでいることが考えられます。たとえ少量の水漏れでも、放置すると周辺の腐食や電気系統のショートにつながる恐れがあるため、注意が必要です。
⇒ これらの症状を見過ごすと、一酸化炭素中毒や火災、漏電といった重大な事故に発展するリスクがあります。直ちに使用を中止し、専門家を呼びましょう。
※ ご自宅の給湯器が「エコジョーズ」という省エネタイプの場合、お湯を使うたびに水が出てくるのは全く問題ありません。これは「ドレン排水」と呼ばれるもので、むしろ効率よくお湯を沸かせている証拠です。
● 給湯器の設置から10年以上経過している
☞ ご自宅の給湯器が設置されてから10年以上経過しているかどうかは、トラブル解決の非常に重要な判断基準となります。給湯器の一般的な設計上の標準使用期間は約10年とされており、この期間を過ぎると部品の劣化が進み、故障のリスクが格段に高まるからです。
⇒ たとえ今回、リセットなどでしのげたとしても、数ヶ月後には別のトラブルが発生するといった状態に陥る可能性が高いでしょう。給湯器の製造年月は本体に貼られた銘板シールに記載されていることが多いです。ここを確認し、もし10年以上経過していれば、交換を検討する時期と言えます。長期的な視点で見れば、省エネ性能も向上した最新機種に交換する方が、結果的にコストを抑えられます。何よりも安全・安心な生活を早く取り戻すことができるでしょう。
お湯がぬるい状態を放置する【3つの意外なリスク】
☞ 「お湯がぬるい」「温度が安定しない」。給湯器のこうした不調は、大きな問題にならないだろうとつい放置してしまいがちです。ところが、その行動が思わぬリスクやトラブルにつながることがあります。
⇒ ここでは、給湯器の不調を放置することで起こりうる3つの意外なリスクについて見ていきましょう。
● 火傷や思わぬ事故につながる危険
☞ お湯の温度が不安定だと、火傷や予期せぬ事故のリスクが高まります。特に、シャワー中に急に熱くなったり冷たくなったりを繰り返す状況は、非常に危険です。
例えば、ぬるいお湯に慣れた状態で急に高温のお湯が出ると、とっさに避けられずに火傷を負ってしまう可能性があります。高齢の方やお子さんがいるご家庭では、こうした急な温度変化への対応が遅れ、より重大な火傷につながることも考えられます。
⇒ また、ガス給湯器の場合、不完全燃焼(ガスが正常に燃焼せず、有害な一酸化炭素が発生する現象)を起こしていると、排出されるお湯の温度が不安定になることがあります。不完全燃焼は、最悪の場合、一酸化炭素中毒という命に関わる事故を引き起こす可能性があり、給湯器の放置は非常に危険です。安全に快適なお湯を使うためにも、温度が安定しない状態を放置するのは避けるべきでしょう。
※ 一酸化炭素警報器を設置するとより安全になりお勧めします。
● エラーサインを見逃し、故障を悪化させる
☞ 給湯器の不具合は、実は初期の故障サインであることが少なくありません。「ぬるいお湯しか出ない」「温度が安定しない」といった症状は、内部部品の劣化や不具合が始まっている前触れかもしれません。
⇒ こういった不具合を放置し続けると、最終的には給湯器が完全に停止してしまうことにもつながります。
【放置することによる悪影響】
● 水漏れなどにより、住宅の他の設備へも影響が及ぶ可能性
給湯器内部の部品が劣化し、給湯器の水漏れを引き起こす可能性があります。その場合、その水漏れが住宅の他の部分(床材、壁、電気配線など)にも影響を与え、さらなる費用や損害が発生してしまうことになりかねません。
※ 給湯器が「エコジョーズ」の場合、「ドレン排水」でお湯を使うたびに水が排水されます。これは全く問題ありません。
● 不便な生活を強いられる
給湯器が完全に使えなくなってから慌てて業者を手配すると、繁忙期と重なって修理・交換までに時間がかかるかもしれません。数日間お湯なしの生活を強いられる可能性もあるでしょう。
早期発見・早期対処が安心です。
実はカンタン!給湯器の寿命を延ばす【日頃のメンテナンス】
☞ 給湯器のトラブルは避けたいものですが、日頃から少し気を配るだけで、そのリスクを減らし、長く快適に使うことができます。実は、専門的な知識がなくてもできる簡単なメンテナンスはたくさんあるのです。
⇒ ここでは、給湯器の寿命を延ばすために、ぜひ試してほしい3つのポイントをご紹介します。
● 冬場に効果的な「凍結防止」のポイント
☞ 冬の寒い時期は、給湯器にとって最も過酷な季節です。特に外気温が氷点下になるような日には、配管内の水が「凍結」(配管内の水が凍ってしまうこと)し、給湯器の故障や水漏れの原因になることがあります。
【凍結を防ぐための対策】
● 給湯器の電源は入れっぱなしにしておく
ほとんどの給湯器には「凍結防止ヒーター」(配管を温めて凍結を防ぐ電気ヒーター)が内蔵されています。このヒーターは、電源が入っている時に作動するため、冬場は給湯器の電源プラグを抜いたり、ブレーカーを切ったりしないようにしましょう。※一部の簡易型や古い機種の給湯器には非搭載の可能性があります。
● 浴槽に水をためておく
お風呂の追い焚き機能がある給湯器の場合、浴槽に水を少し残しておくのが有効です。風呂アダプター(浴槽にお湯が出る部分)の循環金具よりも約5cm以上水が残っていれば、浴槽と給湯器をつなぐ「ふろ配管」(お風呂の追い焚きなどに使われる配管)の凍結防止に役立ちます。
● 少量の水を流しっぱなしにする(特に夜間)
外気温が特に低い夜間や、旅行などで長時間家を空ける際には、キッチンの給湯栓から水を少量(1分間に約400ml程度、割り箸くらいの太さ)流しっぱなしにするのも効果的です。水が流れていれば凍結しにくくなります。ただし、水の出しっぱなしは水道代がかかるため、緊急時や短期間の対策として検討しましょう。
● 簡単な「リモコンのお手入れ」
☞ 給湯器のトラブルを防ぐには、意外とリモコンのお手入れも大切です。リモコンは毎日触る場所なので、皮脂汚れやホコリがたまりやすく、放置するとボタンの反応が悪くなる、内部に湿気がこもるなどの原因になることがあります。
⇒ 特別なお手入れは必要ありません。月に一度程度、乾いた柔らかい布で軽く拭いてあげるだけで十分です。特にボタンの隙間にホコリがたまらないよう注意しましょう。水拭きをする場合は、固く絞った布を使い、リモコン内部に水が入らないよう気をつけてください。
● 定期的な「点検」が故障リスクを低減
☞ ご自身でできる対策の他に、定期的な専門家による点検も給湯器の寿命を延ばす上で非常に重要です。給湯器は外部からは見えない内部でガスを燃焼させ、水を温めるという複雑な動作をしています。そのため、素人目には気づきにくい劣化や不具合が進行していることがあるのです。
⇒ 設置から8年〜10年が経過したら、一度は専門業者による点検を受けることをおすすめします。※メーカーによっては「5年目以降は定期点検を推奨」としている場合もあります。
まとめ お湯のトラブルは、落ち着いた対処と早めの相談が解決の鍵
☞ お湯がぬるい、安定しないといったトラブルが起こると不安になるものです。
しかし、これまでの記事でご紹介したように、落ち着いて対処すればご自身で解決できるケースも少なくありません。
● 焦らず原因の「あたりをつける」ことから
☞ 突然お湯が出なくなったり、ぬるかったりすると慌ててしまいがちですが、冷静に状況を整理することから始めましょう。
例えば、次のような情報を整理するだけで、ある程度の原因に「あたりをつける」ことができます。
● いつから症状が出たのか
● 特定の蛇口だけか、全てか
● 異音や異臭はしないか
● 外気温はどうか
⇒ リモコンの設定やブレーカーの確認、ガスの元栓チェックなど、ご自身で試せる対処法から順に試してみましょう。多くの給湯器トラブルは、実はこうした身近な原因によるものも少なくありません。冬場の水温差による影響や、複数箇所での同時使用による一時的な能力不足など、故障ではないケースもあります。症状を正確に把握することが、適切な次の行動へとつながるはずです。
● 無理な自己判断や自己修理は避けよう
☞ ご自身でできる範囲の確認や対処は有効です。しかし、給湯器の内部を分解したり、無理に修理しようとすることは絶対に避けてください。給湯器は、電気やガス、水といった要素が複雑に絡み合って動作する精密機器だからです。
⇒ 安易な自己判断や自己修理は、以下のような深刻なリスクを伴います。
● 感電や火傷の危険
給湯器内部の電気配線や高温部分に触れることで、感電や火傷を負う可能性があります。
● ガス漏れや一酸化炭素中毒の危険
ガスの配管を不用意に触るとガス漏れにつながり、最悪の場合、一酸化炭素中毒や火災を引き起こす恐れがあります。実際に、不適切な修理が原因で一酸化炭素中毒に至ったケースも報告されています。
※ 屋外設置式ガス給湯器の不具合等を原因とする事故も、NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)に報告事例があります。
● 故障の悪化やメーカー保証の無効化
専門知識のない修理は、かえって故障を悪化させ、結果的に高額な修理費用がかかることにもなりかねません。また、メーカー保証期間内であっても自己修理が原因で保証が無効になってしまう可能性もあります。
※ 取扱説明書や保証書に記載されている条件を確認しましょう。
⇒ ご自身の安全を守り、給湯器をさらに傷つけないためにも、少しでも不安を感じたら無理は禁物です。
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監修者
ダスキン給湯器テクニカルアドバイザー 河津勇司
給湯器交換企業にてガス給湯器取り付け作業を担当
これまでに施工経験数3000以上を実施。個人事業を立ち上げ、給湯器取り付け経験を積む。
現在は株式会社ダスキンにて給湯器施工及び後輩育成に従事。





