

シロアリの被害を最初に受けやすいのが、庭にある木材です。
木材が地面に接している場合、適度な食料となる木材・水分・日光や風を凌ぐなどの条件が揃いますから、シロアリにとっては快適な住処となるわけです。
家屋の周囲では、庭の杭や袖垣(そでがき)など、土に直接触れているものによく被害が見られます。グラグラしている杭などを抜いてみると、シロアリが見つかることもあります。
シロアリは主に枯れ木を食べます。庭木や観葉植物などを枯れたまま放置しておくことはシロアリに餌と住処を提供しているようなものですから、きちんと片づけるようにしましょう。
また、シロアリは生きている植物を食べることはめったにありませんが、植物の状態に異常が見られる場合は、シロアリの被害を受けている可能性があります。ストレスなどの負担が掛かっている植物は被害に遭いやすいので、日頃の適切なお手入れが必要です。
時には、プランターや植木鉢の土の中からシロアリが見つかることもあります。
そんな場合、近くで巣を作り繁殖している可能性がありますので、周辺にシロアリがいないか調査してみてください。
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シロアリ(羽アリ)
触角数珠状でくの字に曲がっていない胴体胴が太く、ずん胴羽前後の羽が、形も大きさもほぼ同じ
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クロアリ(羽アリ)
触角棒状の節が連なり、くの字に曲がっている胴体 胴が大きくくびれている羽 前の羽が後の羽よりも大きい
日本では「イエシロアリ」や「ヤマトシロアリ」といった家屋にダメージを与える種類が存在するので、彼らの侵入につねに気を配っておかなければいけません。
シロアリの種類と特徴
ヤマトシロアリ | イエシロアリ | |
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生息範囲 | 北海道北部を除く日本全土 | 本州南岸以南 |
好む土質 | 粘土分の多い植質土 | 粘土分の少ない砂質土 |
好む材質 | 湿った腐朽した木材 | 新材、乾いた部分も |
群飛時期 | 4月中旬~5月下旬の昼間 とくに前日が雨で、晴れ上がった日 | 主に6月~7月の 夕方から夜間にかけて |
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体色 | 黒褐色 | 黄褐色(東部は暗褐色) |
体長 | 約10mm | 12~15mm |
翅 | 淡い黒色系・半透明の翅 | 乳白色・淡黄色・半透明の翅 |
生息範囲 | 北海道北部を除く日本全土 |
好む土質 | 粘土分の多い植質土 |
好む材質 | 湿った腐朽した木材 |
群飛時期 | 4月中旬~5月下旬の昼間 とくに前日が雨で、晴れ上がった日 |
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体色 | 黒褐色 |
体長 | 約10mm |
翅 | 淡い黒色系・半透明の翅 |
生息範囲 | 本州南岸以南 |
好む土質 | 粘土分の少ない砂質土 |
好む材質 | 新材、乾いた部分も |
群飛時期 | 主に6月~7月の 夕方から夜間にかけて |
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体色 | 黄褐色(東部は暗褐色) |
体長 | 12~15mm |
翅 | 乳白色・淡黄色・半透明の翅 |
「イエシロアリ」や「ヤマトシロアリ」は、5月~7月頃の初夏に「巣別れ」を行います。
もともといた巣を離れ、新しい巣を作るのです。この時、多数の羽アリが発生するので人目にも付きやすくなります。
羽アリが家の中から飛び立つような光景を目撃したら、その元になるシロアリの巣の存在を疑いましょう。


シロアリの姿を直接見かけなくても、ふだん生活をしている中で違和感がある時は要注意です。例えば、これまでスムーズに開け閉めができていたドアや襖、雨戸などが上手く動かなくなったら、シロアリ被害が原因の場合もあります。
また家の中を歩いていて床の特定の箇所がなんとなく頼りない感触であった場合も危険です。
特に浴室や洗面所、キッチンやトイレといった水回りに関しては、要注意のポイントとなります。
なぜなら、シロアリは湿度が高く、暗い場所をとても好むからです。
また、外と直接つながっている玄関も狙われやすく、家のそばに木材や段ボールを放置していたり、そこに水撒きをしていたりしたらシロアリの温床になりかねません。
また、雨漏りしている天井も危険です。2階や3階であっても被害は拡大していきます。


その他に、床下にブロックがあり湿気が籠りやすい玄関、シロアリが好んで食べる畳のある和室も被害を受けることの多い箇所です。
湿気はシロアリ以外の害虫の原因になるほかにも、木材が腐り、家の土台や柱の強度そのものを低下させてしまうので、シロアリだけでなく住まいの安全を守るためにも湿気対策はとても重要です。


蟻道(ぎどう)は、シロアリが地面と木部を繋げるために作り出す道のことです。
また、光や日光を嫌い、適当な湿度を保つために、木材の割れ目や継ぎ目に排出物や土砂を詰めたり、すきまを埋めたりします。これを、蟻土といいます。
蟻道や蟻土はいずれも土やシロアリ自らが出す分泌物、食物片等を練り合わせたものです。


蟻道はコンクリート・処理木材・ブロック・鉄など、様々な材質の表面に構築されます。
通常は、直径1~5cm程度の大きさで、地面からその上にある木材まで植物のように伸び上がったり、木材から下の地面までツララのように垂れ下ったりしていることもあります。
たとえ家の外側が鉄でできていても、シロアリは蟻道を作って木の部分までやってくるため、シロアリ被害は木造家屋だけに留まらないのです。
蟻道や蟻土は、建物内にシロアリが生息しているかどうかの手掛かりとなります。
例えば、畳をあげてみると、畳の裏や床板に蟻道や蟻土が見つかるケースもあります。畳の縁や端が不自然に沈んでいる時など、一度、畳をあげて見てみることをおすすめします。普段は気を配らないような基礎部分を観察してみてください。
蟻道や蟻土が見つかったからと言って必ずシロアリがいるとは限りませんが、
放置せずにシロアリの存在を確認するようにしてください。


シロアリは、木材の柔らかい部分を好んで食べ、硬い部分は残すという性質があります。
また、明るい所では光が自分に当たらないように木材の表層を残し、内部だけを侵食するので、木材表面を強く押したり、ドライバーなどで突くと、簡単に穴があいたり、崩れたりします。
見た目にはまったく異常がないので、ついつい見落としがちなところです。
内部の侵食がひどいときは、少し押しただけで柱がへこんでしまうこともあります。最終的には、外側もシロアリによって食害を受け始め、壁や柱がボコボコになっているのが見て取れます。
また、柱に筋状の線があったり、穴があいている場合などは、柱の内部が食害を受けている時の兆候です。玄関・勝手口・風呂場の柱や、玄関の上がり框・敷居などによく見られます。
湿気が多い箇所の柱には、十分注意を払うようにしてください。


また、シロアリは一般的に、クロマツ・アカマツ・エゾマツなどのマツ類やヤナギを好む傾向があります。また、心材よりも辺材を、晩材(秋材)よりも早材(春材)を、それぞれ好むのでそのような材料を使っているお家は要注意です。
何れにせよ、壁や柱は家屋を支える大変重要な部分です。
壁や柱を叩くという行為は、日常生活ではあまりしないでしょうが、シロアリの存在を調べる際には重要です。ここがスカスカになっているのはとても危険な状態であると言えます。